電子制御式オートマチックトランスミッション[ECT](A960E)  機能点検

準備品一覧



1. シフトロック作動点検
  1. シフトレバーをPレンジにする。

  2. シフトレバーを操作したとき、Pレンジ以外にシフトできないことを点検する。

  3. IG ONにしてブレーキペダルを踏んだ状態のとき、Pレンジ以外にシフトできることを点検する。



2. シフトロック解除ボタン作動点検
  1. シフトロック解除ボタンを押しながらシフトレバーを操作したとき、Pレンジ以外にシフトできることを点検する。



3. キーインタロック作動点検
  1. IG ONにする。

  2. ブレーキペダルを踏んだ状態で、シフトレバーをPレンジ以外にシフトできることを点検する。

  3. Pレンジ以外にシフトした状態でIG OFFにしたとき、エレクトリカルキートランスミッタがエレクトリカルキーホルダから抜けないことを点検する。(スマートエントリー付き車)

  4. Pレンジ以外にシフトした状態でIG OFFにしたとき、イグニッションキーがLOCK位置に回せないことを点検する。(スマートエントリーなし車)

  5. シフトレバーをPレンジにしたとき、エレクトリカルキートランスミッタがエレクトリカルキーホルダから抜けることを点検する。(スマートエントリー付き車)

  6. シフトレバーをPレンジにしたとき、イグニッションキーがLOCK位置に回り、キーが抜けることを点検する。(スマートエントリーなし車)



4. タイムラグ点検

■ 注 意 ■
  1. 必ずエンジンの点検および調整を行った後に実施する。
  2. 通常走行状態の油温(50-80°C)で行う。
  3. エアコンはOFF状態で行う。

  1. パーキングブレーキを作用させ、輪止めをする。

  2. エンジンを始動する。

  3. ブレーキペダルを踏みながら、アイドル回転でNレンジからDレンジまたはRレンジにシフトし、軽いショックがあるまでの時間を測定する。

    基準値
    N→Dレンジ 1.2秒以下
    N→Rレンジ 1.5秒以下

    ■ 注 意 ■
    1. 測定は数回行い、平均値をとる。
    2. 連続して測定するときは、1分間の間隔をおく。



5. ストール回転数点検

■ 注 意 ■
  1. 必ずエンジンの点検および調整を行った後に実施する。
  2. 通常走行状態の油温(50-80°C)で行う。
  3. エアコンはOFF状態で行う。
  4. 5秒以上連続して行わない。
  5. タイヤが空転しないように、アスファルト上などのμ(摩擦係数)の高い場所で行う。

  1. パーキングブレーキを作用させ、輪止めをする。

  2. エンジン回転計を取り付け、エンジンを始動する。

  3. 左足でブレーキペダルを強く踏み、Dレンジにシフトし、右足でアクセルペダルをいっぱいに踏み込んだ時の最高エンジン回転数をすばやく読み取る。

    基準値


    エンジン型式
    トランスミッション型式
    ストール回転数[r/min]
    3GR-FSE
    A960E
    2535±150
    4GR-FSE
    A960E
    2590±150



6. ラインプレッシャー点検


C102464J01

■ 注 意 ■
  1. 必ずエンジンの点検および調整を行った後に実施する。
  2. 通常走行状態の油温(50-80°C)で行う。
  3. エアコンはOFF状態で行う。
  4. ストール時、5秒以上連続して行わない。

  1. パーキングブレーキを作用させ、輪止めをする。

  2. エンジン回転計を取り付ける。

  3. テストプラグをはずし、ゲージを取り付け、エンジンを始動する。

    □ 参 考 □
    計器: 
    バンザイ製
    1. オートマチックトランスミッションオイルプレッシャゲージセット[OPG-210]
    2. ゲージASSY[OPG-GAUGE]
    3. アダプターC[OPG-142]
    イヤサカ製
    1. オートマチックトランスミッションオイルプレッシャゲージセット[ATG-100]
    2. ゲージASSY[ATG-GAUGE]
    3. アダプターC[ATG-113]

  4. 左足でブレーキペダルを強く踏み、DレンジまたはRレンジにシフトし、アイドル回転時およびストール回転時における油圧を点検する。

    基準値

    トランス ミッション型式
    (エンジン型式)
    シフト 位置
    アイドル時
    [MPa{kgf/cm2} ]
    ストール時
    [MPa{kgf/cm2} ]
    A960E
    (3GR-FSE)
    Dレンジ
    0.36-0.42
    {3.7-4.3}
    1.08-1.17
    {11.0-11.9}
    A960E
    (3GR-FSE)
    Rレンジ
    0.49-0.56
    {5.0-5.7}
    1.36-1.53
    {13.9-15.6}
    A960E
    (4GR-FSE)
    Dレンジ
    0.36-0.42
    {3.7-4.3}
    1.10-1.19
    {11.2-12.2}
    A960E
    (4GR-FSE)
    Rレンジ
    0.49-0.56
    {5.0-5.7}
    1.36-1.53
    {13.9-15.6}

    □ 参 考 □
    ラインプレッシャコントロールソレノイドASSY系統で断線または短絡した場合、ラインプレッシャーは最大となる。



7. 変速表


■ 注 意 ■
  1. 必ずエンジンの点検および調整を行った後に実施する。
  2. 通常走行状態の油温(50-80°C)で行う。
  3. エアコンおよびクルーズコントロールはOFF状態で行う。

□ 参 考 □
  1. エンジン冷却液温55°C未満かつ車速55km/h未満のとき、6速に変速しない。
  2. エンジン冷却液温55°C未満かつ車速51km/h未満のとき、5速に変速しない。
  3. エンジン冷却液温47°C未満かつ車速49km/h未満のとき、4速に変速しない。
  4. エンジン冷却液温60°C未満ではロックアップおよびフレックスロックアップしない。
  5. (*1)スロットル開度0%も同じ。
  6. 最高速フューエルカット車速以上は実現しないため、参考値とする。

基準値



C102465



C102466



8. 走行テスト

■ 警 告 ■
道路の安全をよく確認して行う。

■ 注 意 ■
  1. 必ずエンジンの点検および調整を行った後に実施する。
  2. 通常走行状態の油温(50-80°C)で行う。
  3. エアコンおよびクルーズコントロールはOFF状態で行う。


□ 参 考 □

走行テスト一覧 
点検項目
点検および確認要領
Dレンジ変速機能
通常走行(一般的な市内走行)にて1速←→2速←→3速←→4速←→5速←→6速と変速することを点検する。
トランスミッションコントロールスイッチの作動(D←→S切り替えスイッチの作動)
6速速度域で、シフトレバーをDレンジ←→Sポジションと操作し、6速←→5速と変速することを点検する。
Dレンジ走行時の変速ショックレベル
通常走行において、各アップシフト時のショックレベルを点検する。
Sポジション機能
車両停止時、Sポジションにて“+”、“-”に操作した時、1レンジ←→2レンジ←→3レンジ←→4レンジ←→5レンジ←→6レンジと各レンジに切り替わる(メーター表示)ことを点検する。
キックダウン機能
  1. 各ギヤでキックダウン操作を行い、ダウンシフトすることを点検する。
  2. キックダウン時のショックレベルを点検する。
エンジンブレーキの作用
  1. Sポジション(6レンジ)6速ギヤで走行中(70-80km/h程度)、シーケンシャルゲートの“-”にシフトし、5速ギヤでのエンジンブレーキ作用を点検する。
  2. Sポジション(5レンジ)5速ギヤで走行中(55-65km/h程度)、シーケンシャルゲートの“-”にシフトし、4速ギヤでのエンジンブレーキ作用を点検する。
  3. Sポジション(4レンジ)4速ギヤで走行中(30-40km/h程度)、シーケンシャルゲートの“-”にシフトし、3速ギヤでのエンジンブレーキ作用を点検する。
  4. Sポジション(3レンジ)3速ギヤで走行中(20-30km/h程度)、シーケンシャルゲートの“-”にシフトし、2速ギヤでのエンジンブレーキ作用を点検する。
  5. Sポジション(2レンジ)2速ギヤで走行中(10-20km/h程度)、シーケンシャルゲートの“-”にシフトし、1速ギヤでのエンジンブレーキ作用を点検する。
アクセルペダル全開時の変速点
Dレンジでアクセルペダル全開で発進し、1速→2速へのアップシフト速度が変速点に適合していることを点検する。
ロックアップ機能
平坦路をロックアップ速度域で定速走行中にアクセルペダルを軽く踏み込んだとき、エンジン回転数が大きく変化しないことを確認する。
Pレンジの作動
車両を坂路(約5°以上)に停止させてPレンジにシフトして、パーキングブレーキを解除したとき、車両が動かないことを点検する。
異音、振動
走行時および変速時の異音、振動を点検する。
登降坂制御機能
  1. Dレンジ登坂時に6速または5速以上へのアップシフトが禁止されることを確認する。
  2. Dレンジ降坂時にブレーキを作用させたとき、自動的に5速または4速へダウンシフトされることを確認する。
油漏れ
走行テスト後、各部に油漏れのないことを点検する。



9. マニュアル走行テスト
SST
09991-70200  
  1. トランスミッションワイヤのコネクターを切り離す。

  2. 走行中にレンジに合ったギヤに変速されているか点検する。

    基準


    シフトレバー位置
    ポジション
    Dレンジ
    4速

  3. マニュアル走行テスト後、ダイアグコードを消去する。



10. ソレノイド作動点検
  1. TaSCAN-アクティブテスト

    1. IG OFFにする。

    2. SST(TaSCAN)をDLC3に接続する。

      SST
      09991-70200  

    3. エンジン停止状態でIG ONにする。

    4. 画面表示に従って[アクティブテスト]画面を表示させる。

    5. エンジンを始動し、下記のアクティブテストを行う。

      [診断メニュー画面:パワトレ→ECT→アクティブテスト] 
      項目名
      テスト内容
      制約事項
      ECT変速位置
      任意の変速位置に設定が可能
      車速50km/h以下でテストが可能

      □ 参 考 □

      変速時のソレノイドの状態 
      記号
      作動状態

      通電状態
      ×
      非通電状態

      正常時(A960E) 
      シフト
      S1
      S2
      S3
      S4
      SR
      SL1
      SL2
      ギア位置
      Dレンジ
      ×


      ×

      ×

      1速




      ×

      ×

      2速


      ×

      ×

      ×

      3速


      ×
      ×
      ×

      ×

      4速


      ×
      ×

      ×

      ×
      5速



      ×

      ×

      ×
      6速