EBD付きABS&TRC&VSC&BAシステム  テストモード




  1. テストモード点検

    □ 参 考 □
    1. テストモードに入ると、全テストモードコードが一度記憶され、点検時にコンピュータが正常と判断したコードの記憶が消去される。
    2. テストモード中は、センサチェック正常および異常にかかわらずVSCは作動しない。
    3. 通常モードに戻ると、すべてのテストモードコードは消去される。
    4. センサに異常がある場合は、ABSウォーニングランプまたはVSCウォーニングランプが点灯する。

    1. テストモード起動方法(TaSCAN)


      1. IG OFFにして、SST(TaSCAN)をDLC3に接続する。

        SST
        09991-70200  

      2. IG ONにして、SST(TaSCAN)の表示画面に従って、テストモードに切り替える。



      G022987
    2. テストモード起動方法(DLC3短絡)


      1. IG OFFにして、DLC3の12(TS)←→4(CG)端子間を短絡する。

        SST
        09843-18040  

        ■ 注 意 ■
        故障の原因となるため、コネクターの接続位置を絶対に間違えない。

      2. IG ONにする。



      C100543J01
    3. テストモード表示確認


      1. テストモード起動時、ウォーニングランプは約3秒間点灯後、テストモード表示をう。

        ■ 注 意 ■

        テストモードコードの継続条件 
        DLC3
        IG ON
        IG OFF
        IG OFF→ON
        TS-CG端子間短絡
        記憶保持
        記憶保持
        記憶保持
        TS-CG端子間開放
        記憶保持
        記憶保持
        記憶消去

    4. ヨーレートセンサ&Gセンサ0点チェック


      1. IG ONにする。

      2. シフトレバーをPレンジにして、平坦な場所で1秒以上停車させる。

        □ 参 考 □
        1. ABSウォーニングランプおよびVSCウォーニングランプ表示は変化しない。
        1. センサが正常でテストモード起動時に、上記条件が成立していれば正常終了している。



      C042844
    5. ヨーレートセンサ出力チェック


      1. 車速5km/h以上で、ホイールスピンさせずにステアリングを90°以上切り、1秒以上維持しながら180°の施回走行を行う。

        ■ 注 意 ■
        1. 施回の開始と終了時の車両方向は180±5°以内とする。
        2. 施回中はシフトレバーをPレンジにしない。また、IG OFFにしない。

        □ 参 考 □
        1. 施回方向はどちら側でも良い。
        2. 施回中に車速変化、停止、後退を行ってもよいが、20秒以内で施回を完了させる。

      2. シフトレバーをPレンジにする。そのとき3秒間ブザーが鳴り、センサチェックが終了したことを確認する。

        ■ 注 意 ■
        1. ブザーが鳴らない場合は、テストモードコードを確認する。
        2. テストモードコードに異常がなく、センサチェックを数回行ってもブザーが吹鳴しない場合は、ブザー回路を点検する。

        □ 参 考 □
        VSCセンサチェックは正常に終了しても、ウォーニングランプは変化しない。

    6. ブースタ失陥判定チェックおよびマスタ圧センサ0点補正


      1. IG ON(エンジン停止)にして、約59N{6kgf}以上の踏力で1秒以上ブレーキペダルを踏み続け、ブレーキウォーニングランプが点灯することを確認する。

      2. 失陥判定終了後、エンジンを始動し、約59N{6kgf}以上の踏力でブレーキペダルを踏み、ブレーキウォーニングランプが消灯することを確認する。(正常判定)

      3. ブレーキペダルを速やかに戻してブレーキペダルから足を離し、そのまま1秒以上放置する。(マスタ圧センサ0点補正)

        ■ 注 意 ■
        1. 正常判定確認後、ブレーキを速やかに戻さなかった場合、およびブレーキペダルへの足載せ等がある場合は0点を誤補正するため、操作手順を厳守する。
        2. ブースタ失陥判定チェックが正常終了しない場合、マスタ圧センサチェックは判定が行なわれない。
        3. エンジン始動後に再検査する場合は、テストモード終了→テストモード移行を行い、ポンピングブレーキでブースタ負圧を抜いておく。

    7. マスタシリンダ圧力センサチェック


      1. 車両停止状態(エンジン停止)でブレーキペダルを1秒以上開放した後、素早く98N{10kgf}以上の踏力でペダルを踏んだとき、ABSウォーニングランプが3秒間点灯することを確認する。

        □ 参 考 □
        1. ABSウォーニングランプ点灯中は、踏力98N{10kgf}以上でブレーキペダルを踏み込んだ状態を維持する。
        2. テストモード中は、上記ペダル操作を行うたびにABSウォーニングランプが約3秒間点灯する。
        3. マスタシリンダ圧力センサチェックが終了しない場合、むやみにブレーキを踏み込むとさらに負圧が低下し、センサチェック終了しにくくなる場合がある。
        4. 負圧不十分時には、マスタシリンダ圧力センサチェックが終了しない場合がある。その場合、エンジンをアイドル回転させて負圧を十分に確保する。
        5. 負圧不十分時にブレーキを強く踏むと、失陥制御によりブレーキウォーニングランプが点灯する場合がある。その場合、エンジンをアイドル回転させて負圧を十分に確保する。



    8. スピードセンサチェック


      1. 車速3km/h以上の速度で、1秒以上後退走行させる。(スピードセンサの後退信号チェック)



      2. ハンドル直進状態でホイールスピンさせずに発進し、時速45km/h以上まで速度を上げ、ABSウォーニングランプが消灯することを確認する。

        ■ 注 意 ■
        1. スピードセンサチェックを行う前にヨーレートセンサ、デセラレーションセンサおよびマスタ圧センサチェックを終了させておく。
        2. 操舵した状態でセンサチェックを開始した場合およびホイールスピンをさせた場合は、スピードセンサチェックが終了しないことがある。
        3. ABSウォーニングランプ消灯後、時速80km/h以上で走行すると再度テストモードコードを記憶するため、80km/hに達するまでに減速して停車する。
        4. センサチェック未終了の場合、走行中もABSウォーニングランプが点滅となり、ABSは作動しない。
        5. 操舵した状態でセンサチェックを開始すると、中車速チェック終了後、ABSウォーニングランプが消灯しない場合がある。
        6. 車速45km/h以上で後退させるとセンサチェックが終了しない。

        □ 参 考 □
        スピードセンサチェックが正常に終了すると、ABSウォーニングランプは走行中は消灯、停車中はテストモード点滅を行う。


        G030108

    9. センサチェック終了


      1. センサチェックが正常に終了した場合、ABSウォーニングランプ点灯状態は車両停止中は点滅状態(テストモード表示)、車両走行中は消灯状態となる。

        ■ 注 意 ■
        1. ヨーレートセンサ、Gセンサ、スピードセンサおよびマスタシリンダ圧力センサチェックが正常に終了したとき、センサチェック終了となる。
        2. センサチェック未終了の場合、走行中もABSウォーニングランプが点滅となり、ABSは作動しない。
        3. テストモード中にダイアグノーシスコードを検出した場合は、ABSウォーニングランプまたはVSCウォーニングランプが点灯する。

    10. テストモードコード読み取り(TaSCAN)


      1. テストモードの状態で、SST(TaSCAN)を使用して、ダイアグノーシスコードをチェックする。

        SST
        09991-70200  



      G022988
    11. テストモードコード読み取り(DLC3短絡)


      1. IG OFFにする。

      2. SSTを使用して、DLC3の12(TS)、13(TC)←→4(CG)端子間を短絡する。

        SST
        09843-18040  

        ■ 注 意 ■
        1. 故障の原因となるため、コネクターの接続位置を間違えない。
        2. 車両停止状態で行う。



      3. G022597J01
      4. IG ONにして、ABSおよびVSCウォーニングランプの点滅回数から、テストモードコードおよびダイアグノーシスコードを読み取る。

        ■ 注 意 ■
        1. ダイアグノーシスコードのみ表示された場合、不具合箇所を修理してダイアグノーシスコードを消去する。
        2. テストモードコードのみ表示された場合、再度テストモードを行う。
        3. ダイアグノーシスコードおよびテストモードコードが表示された場合、不具合箇所を修理してダイアグノーシスコード消去を行い、再度テストモード点検を行う。

        □ 参 考 □
        1. テストモードコードとダイアグノーシスコードが表示される。
        2. システムが正常な場合は、ウォーニングランプが0.25秒点灯、0.25秒消灯を繰り返す。
        3. 異常コードが1つの場合、ウォーニングランプに同一コードが4秒間隔で表示される。異常コードが複数の場合は、ウォーニングランプに異なるコードが2.5秒間隔で表示され、一巡すると4秒後に再度出力される。
        4. 複数のコードが出力される場合は、コード番号の小さいものから順に出力される。

    12. テストモード終了方法(TaSCAN)


      1. SST(TaSCAN)の画面表示に従って、テストモード→通常モードに切り替える。

      2. IG OFFにして、SST(TaSCAN)を取りはずす。

    13. テストモード終了方法(DLC3短絡)


      1. IG OFFにして、DLC3の13(TC)、12(TS)←→4(CG)端子間を開放する。

      2. IG ONにする。

        □ 参 考 □
        1. IG ONのままTS←→CG端子を開放すると、テストモードが継続される。
        2. TS←→CG端子を短絡したままIG ONにすると、テストモードは前回の継続となる。



    1. テストモードコード一覧表

      □ 参 考 □
      テストモードコードの‘SAE’は診断ツールTaSCANを使用した場合の出力コードを、‘ランプ’はABSまたはVSCウォーニングランプ点滅による出力コードを示す。(SAE:アメリカ自動車技術会)



      ABSテストモードコード一覧表 
      コード番号
      [SAE/ランプ]
      診断内容
      [端子記号]
      判定内容
      点検項目
      C1271/71

      SPD FR出力電圧異常
      [FR+、FR-]
      異物の付着、センサとロータとのすき間を判定
      1. スピードセンサ断線、ショート
      2. スピードセンサ系ワイヤハーネス断線、ショート
      3. コネクター接圧不良、配線抵抗
      4. スピードセンサ取り付け不良
      5. スピードセンサロータ系異常
      C1272/72
      SPD FL出力電圧異常
      [FL+、FL-]
      異物の付着、センサとロータとのすき間を判定
      1. スピードセンサ断線、ショート
      2. スピードセンサ系ワイヤハーネス断線、ショート
      3. コネクター接圧不良、配線抵抗
      4. スピードセンサ取り付け不良
      5. スピードセンサロータ系異常
      C1273/73
      SPD RR出力電圧異常
      [RR+、RR-]
      異物の付着、センサとロータとのすき間を判定
      1. スピードセンサ断線、ショート
      2. スピードセンサ系ワイヤハーネス断線、ショート
      3. コネクター接圧不良、配線抵抗
      4. スピードセンサ取り付け不良
      5. スピードセンサロータ系異常
      C1274/74
      SPD RL出力電圧異常
      [RL+、RL-]
      異物の付着、センサとロータとのすき間を判定
      1. スピードセンサ断線、ショート
      2. スピードセンサ系ワイヤハーネス断線、ショート
      3. コネクター接圧不良、配線抵抗
      4. スピードセンサ取り付け不良
      5. スピードセンサロータ系異常
      C1275/75
      SPD FR出力周期異常
      [FR+、FR-]
      センサ入力波形の安定を判定
      1. スピードセンサロータ系異常
      2. スピードセンサ異物付着
      C1276/76
      SPD FL出力周期異常
      [FL+、FL-]
      センサ入力波形の安定を判定
      1. スピードセンサロータ系異常
      2. スピードセンサ異物付着
      C1277/77
      SPD RR出力周期異常
      [RR+、RR-]
      センサ入力波形の安定を判定
      1. スピードセンサロータ系異常
      2. スピードセンサ異物付着
      C1278/78
      SPD RL出力周期異常
      [RL+、RL-]
      センサ入力波形の安定を判定
      1. スピードセンサロータ系異常
      2. スピードセンサ異物付着
      C1279/79
      Gセンサ出力電圧異常
      [GL1、GL2]
      ヨーレートセンサ内のデセラレーションセンサの出力電圧を判定
      1. ヨーレートセンサ(Gセンサ)0点記憶不良
      2. ヨーレートセンサコネクターかん合不良
      3. ヨーレートセンサスティック
      4. ヨーレートセンサ取り付け不良
      C1281/81
      マスタ圧センサ出力異常
      [VCM、PMC]
      1. マスタ圧センサの0点記憶値を判定
      2. マスタ圧センサの感度が正常であることを判定
      3. 踏力スイッチのON/OFF故障
      1. マスターシリンダー圧力センサかん合不良
      2. ストップランプスイッチ回路コネクターかん合不良
      3. ストップランプスイッチOFF固着
      4. 踏力スイッチ系ワイヤハーネス断線、ショート
      5. 踏力スイッチON固着


      VSCテストモードコード一覧表 
      コード番号[SAE]
      [SAE/ランプ]
      診断内容
      [端子記号]
      判定内容
      点検項目
      C0371/71
      ヨーレートセンサ異常
      [YAW、GYAW、YD]
      1. ヨーレートセンサの0点電圧値を判定
      2. ヨーレートセンサの出力電圧を判定
      1. ヨーレートセンサ系統ワイヤハーネスかん合不良
      2. ヨーレートセンサ取り付け不良
      3. Pレンジ信号線不良