ECU制御システムのトラブルシューティングの方法 電気回路の点検方法および進め方 |
電子部品の抵抗値測定条件
特に明記のない場合を除き、抵抗はすべて周囲温度20°Cで測定する。車が走行したすぐ後の高い周囲温度で測定した場合は、抵抗値は規定値外になるので、エンジンが冷えてから測定を行う。
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コネクターの取り扱い
ロック付きコネクターを切り離す場合は、コネクターをかん合側に押し、ロックのツメを動きやすくしてからロックをはずす。
コネクターを切り離す場合は、ハーネスを持たずにコネクターを持って行う。
コネクターの接続前に、端子の変形、損傷、抜けなどがないことを確認する。
ロック付きコネクターの接続は、ロック音がするまで確実に差し込む。
コネクターをトヨタエレクトリカルテスターで点検する場合は、ミニテストリードを使用してコネクターの後ろ側(ハーネス側)から行う。
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コネクターの点検要領
コネクター接続状態で、差込み具合、ロックの効き具合を点検する。(かん合状態)
コネクター切り離し状態で、ワイヤハーネスを軽く引っ張り点検する。(端子抜け、端子かしめ状態、芯線切れ)
発錆、金属片、水などの有無、端子の曲りの有無を目視点検する。(腐食、異物混入、端子変形)
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端子接触圧を、オス端子と同じ端子を用意してメス端子に差し込み、かん合具合、摺動重さを点検する。
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コネクター端子の修理方法
接点部に汚れがある場合はエアガン、ウエスなどを用いて接点部を清掃する。このとき、表面のメッキがはがれてしまうため、サンドペーパーなどで接点部を絶対に磨かない。
接触圧力が異常な場合はメス端子を交換する。このとき、部品側の対応するオス端子が金メッキ(金色)の場合は金メッキ、錫メッキ(銀色)の場合は錫メッキのメス端子を用いる。
接点部に異常がない場合は、接点部をエアガンなどで清掃し、コネクタグリース(品番 08887-02106)を塗布しておく。(これにより接点の酸化、摩耗を防止できる)
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トヨタ純正 コネクタグリース
オルタネーターおよびヘッドランプなど水の掛かりやすい場所のコネクターには、端子の腐食を防止するグリース(白)が充てんされている。
コネクターグリースが不足していたり、端子を修理した場合は、メス端子にコネクタグリース(品番 08887-02106,100g)を手で充てんする。
防水コネクターのOリングおよびゴム栓にグリースが付着しても問題ないが、他のゴム部品(ウェザーストリップおよびワイヤハーネス用グロメットなど)に付着すると劣化および変色などのおそれがある。万一付着した場合は速やかにふき取る。
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ワイヤハーネスの取り扱い
ハーネスを取りはずす場合は、作業前に取り回しおよびクランプ状況を確認し、復元が確実に行えるようにする。
ハーネスをねじったり、引っ張ったり、必要以上にたるませない。
ハーネスを高温となる箇所、回転部、摺動部、振動部および鋭角部(パネル端部、スクリュー先端など)と干渉させない。
部品を取り付ける場合は、ハーネスを噛み込ませない。
ハーネスの被覆を破らない。破れた場合は、交換するかビニールテープなどで確実に修正する。
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図1のワイヤハーネスの断線回路に関して、どの部分が断線しているか、導通点検または電圧点検を実施する。
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導通を点検する。
コネクターAとCをはずし、その間の抵抗を測定する。
図2の場合、コネクターAの端子1とコネクターCの端子1の間 導通なし(断線)、コネクターAの端子2とコネクターCの端子2の間 導通あり、その結果、コネクターAの端子1とコネクターCの端子1間の回路は断線している。
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コネクターBをはずし、コネクター間の抵抗を測定する。
図の3の場合、コネクターAの端子1とコネクターB1の端子1の間 導通あり、コネクターB2の端子1とコネクターCの端子1の間 導通なし(断線)、その結果、コネクターB2の端子1とコネクターCの端子1間の回路は断線している。
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電圧を点検する。
電圧をECUコネクター端子にかけている回路では、電圧点検を行うことにより断線回路を点検する。
図4に示すように、各コネクターを接続したまま、ECU5V出力端子でボデーアースとコネクターAの端子1間、次に、コネクターBの端子1、コネクターCの端子1の順に電圧を測定する。
下記の結果の場合は、Bの端子1とCの端子1の間のワイヤハーネスの回路が断線している。
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図5にあるように、ワイヤハーネスのアースが短絡している場合は、[アースとの導通点検]を実施し、どの部分に原因があるか点検する。
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アースとの導通点検
コネクターAとCをはずし、コネクターAの端子1と2とボデーアース間の抵抗を測定する。
図6の場合、コネクターAの端子1とボデーアース間 導通あり(短絡)、コネクターAの端子2とボデーアース間 導通なし、その結果、コネクターAの端子1とコネクターCの端子1の間の回路は短絡している。
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コネクターBをはずし、コネクターAの端子1とボデーアース間、コネクターB2の端子1とボデーアース間の抵抗を測定する。コネクターAの端子1とボデーアース間 導通なし、コネクターB2の端子1とボデーアース間 導通あり(短絡)、その結果、コネクターB2の端子1とコネクターCの端子1の間の回路は短絡している。
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両端のコネクターをはずす。
コネクター端子に錆はないか、異物がないか点検する。
丸くなっている部分に、緩み、損傷がないかを確認し、端子がロック位置にしっかりと固定されているか点検する。
オステスト端子を準備し、メス端子に挿入し、引き抜く。
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最初にECUのアース回路を点検し、不良の場合は修理する。正常であればECUが不良であるので、正常なECUと交換し、不具合現象が現れないか点検する。
ECUのアース端子とボデーアース間の抵抗を測定する。
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ECUコネクターをはずし、ECU側とワイヤハーネス側のアース端子が曲がっていないか確認し、接圧を点検する。