ECU制御システムのトラブルシューティングの方法 新ダイアグシステム |
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新ダイアグシステムとは、高度化·複雑化する車載エレクトロニクスシステムに対応した新しい故障診断システムである。この故障診断システムの機能は、診断ツールTaSCANにより活用できる。
この新ダイアグに対応した診断ツールTaSCANには、下表に示す機能がある。
機 能 | 概 要 |
---|---|
基本点検 | エンジン、ECTの基本点検が可能(エンジン、ECTのみ) |
ECUデータモニター | ECUデータの確認、記録、再生が可能 |
アクティブテスト | アクチュエーターの任意駆動が可能 |
カスタマイズ | イルミネーテッドエントリーシステムのタイマー時間の変更等、ユーザーの要望にあわせた設定が可能 |
汎用計測 | 電圧計測およびオシロスコープ機能を搭載 |
コンピュータ·センサ名 | ダイアグコード読み取り (ノーマルモード) | ダイアグコード読み取り (チェックモード) | フリーズフレームデータ読み取り (故障発生時のコンピュータデータ) | コンピュータデータのリアルタイム読み取りおよび保存/表示 | アクティブテスト | カスタマイズ |
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エンジンECU | ○ | ○ | ○ (*1) | ○ | ○ | - |
スキッドコントロールECU | ○ | ○ | ○ (*2) | ○ | ○ | - |
エアバッグECU | ○ | ○ | - | - | - | - |
メータECU | - | - | - | ○ | ○ | ○ |
エアコンECU | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ |
パワーステアリングECU | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
電源ECU | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ |
フロントコントローラECU | - | - | - | ○ | ○ | - |
ボデーECU | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ |
ゲートウェイECU | ○ | - | - | ○ | - | ○ |
P/W マスターSW | - | - | - | ○ | ○ | ○ |
スライディングルーフECU | - | - | - | ○ | ○ | ○ |
アブソーバーコントロールECU | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - |
スマートECU | ○ | - | - | ○ | ○ | - |
イモビライザーECU | ○ | - | - | ○ | ○ | - |
AFS ECU | ○ | - | - | ○ | ○ | - |
4WD ECU | ○ | - | - | ○ | - | - |
IPA ECU IPA装着車 | ○ | - | - | ○ | - | - |
エンジンECUおよびIPA ECU(IPA装着車)のダイアグ通信はCAN通信にて行っている。
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車両との接続
運転席インパネ下部に設置のDLC3(データリンクコネクターNo.3)に接続する。
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診断ツールTaSCANの使用方法
診断ツールTaSCANの電源スイッチをONにすると、メニュー画面が表示される。
実施したい項目を任意に選択し、それ以降は、画面と対話をしながら作業を進める。
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IG OFFにする。
DLC3にTaSCANを接続する。
IG ONにする。
[診断]→[フリーズデータ]画面を表示し、データの項目を選択する。
項目選択後、各ポイントのデータを確認する。
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新ダイアグシステム採用に伴い、DLC3(運転席インパネ下部に設置)に機能を集約した。
DLC3の端子名称と機能
端子名称 | 機能 |
---|---|
BAT | バッテリー電源 |
CANL | 各コンピューターとのダイアグCAN通信 |
TC | ダイアグコード(ランプ)出力指示 |
TS | テストモード出力指示 |
OPA | フルタイム4WD整備対応 |
TAC | エンジン回転数出力 |
LVL | ヘッドライトレベリング整備対応 |
SIL | 各コンピューターとのダイアグ通信 |
CANH | 各コンピューターとのダイアグCAN通信 |
CG | ボデーアース |
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TaSCANの電源インジケーター不灯
他の車両にTaSCANを接続し、TaSCANを起動する。
作動状態 | 不具合箇所 | 点検箇所 |
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TaSCANの電源インジケーターが赤または緑に点灯する場合 | 車両側 |
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TaSCANの電源インジケーターが点灯しない場合 | TaSCAN本体 | - |
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診断メニューでシステム診断を押した時に、ダイアグ通信、ダイアグCAN通信対応のすべてのシステム名を表示しない。
IGスイッチおよびTaSCANの電源スイッチを一度OFFし、再度TaSCANを起動し‘戻り’キーを押して診断メニュー表示させた時の状態を確認。
作動状態 | 不具合箇所 | 点検箇所 |
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すべてのシステム名を表示しない | TaSCAN本体 | - |
ダイアグ通信対応のシステム名を表示しない | 車両側 |
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ダイアグCAN通信対応のシステム名を表示しない | 車両側 | 制御系CAN通信トラブルシューティングの進め方手順5[DLC3点検(CANH-CANL)]以降の手順でCAN通信の修正を実施 |
ダイアグ通信対応の一つのシステム名を表示しない | 車両側 |
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ダイアグCAN通信対応の一つのシステム名を表示しない | 車両側 | 制御系CAN通信トラブルシューティングの進め方手順3[ダイアグコード確認]以降の手順でCAN通信の修正を実施 |