ECU制御システムのトラブルシューティングの方法  新ダイアグシステム





  1. 概要
    D100035J01
    1. 新ダイアグシステムとは、高度化·複雑化する車載エレクトロニクスシステムに対応した新しい故障診断システムである。この故障診断システムの機能は、診断ツールTaSCANにより活用できる。



    1. 診断ツールTaSCANの機能
      1. この新ダイアグに対応した診断ツールTaSCANには、下表に示す機能がある。

        機 能
        概 要
        基本点検
        エンジン、ECTの基本点検が可能(エンジン、ECTのみ)
        ECUデータモニター
        ECUデータの確認、記録、再生が可能
        アクティブテスト
        アクチュエーターの任意駆動が可能
        カスタマイズ
        イルミネーテッドエントリーシステムのタイマー時間の変更等、ユーザーの要望にあわせた設定が可能
        汎用計測
        電圧計測およびオシロスコープ機能を搭載



      1. 通信対応コンピューター·センサー

        コンピュータ·センサ名
        ダイアグコード読み取り
        (ノーマルモード)
        ダイアグコード読み取り
        (チェックモード)
        フリーズフレームデータ読み取り
        (故障発生時のコンピュータデータ)
        コンピュータデータのリアルタイム読み取りおよび保存/表示
        アクティブテスト
        カスタマイズ
        エンジンECU



        (*1)


        -
        スキッドコントロールECU



        (*2)


        -
        エアバッグECU


        -
        -
        -
        -
        メータECU
        -
        -
        -



        エアコンECU

        -
        -



        パワーステアリングECU




        -
        -
        電源ECU

        -
        -



        フロントコントローラECU
        -
        -
        -


        -
        ボデーECU

        -
        -



        ゲートウェイECU

        -
        -

        -

        P/W マスターSW
        -
        -
        -



        スライディングルーフECU
        -
        -
        -



        アブソーバーコントロールECU


        -


        -
        スマートECU

        -
        -


        -
        イモビライザーECU

        -
        -


        -
        AFS ECU

        -
        -


        -
        4WD ECU

        -
        -

        -
        -
        IPA ECU
        IPA装着車

        -
        -

        -
        -

        (*1)
        時系列フリーズデータも読み取り可能

        (*2)
        システム作動時のフリーズデータも読み取り可能



        1. ダイアグCAN通信対応コンピューター·センサー
          1. エンジンECUおよびIPA ECU(IPA装着車)のダイアグ通信はCAN通信にて行っている。




          1. 診断ツールTaSCANの使用方法
            D031286J01
            1. 車両との接続


              1. 運転席インパネ下部に設置のDLC3(データリンクコネクターNo.3)に接続する。



              D031282
            2. 診断ツールTaSCANの使用方法


              1. 診断ツールTaSCANの電源スイッチをONにすると、メニュー画面が表示される。

              2. 実施したい項目を任意に選択し、それ以降は、画面と対話をしながら作業を進める。




            1. 時系列フリーズデータ(TaSCAN使用時)
              D031290

              □ 参 考 □
              1. 時系列フリーズデータでは、ダイアグコード検出ポイントおよびその前後のデータをフリーズする。フリーズされたデータによって、車両の走行状態(加速、減速、定常走行時、変速状態)やドライバーの操作状況を正確に確認でき、トラブルシュートする際に役立つ。また、再現テスト実施時のデータとして活用することができる。
              2. 入力信号の変化を確認することにより、瞬断などの異常も検出できる。

              1. IG OFFにする。

              2. DLC3にTaSCANを接続する。

              3. IG ONにする。

              4. [診断]→[フリーズデータ]画面を表示し、データの項目を選択する。



              5. 項目選択後、各ポイントのデータを確認する。


                D031291




              1. ダイアグノーシスコネクターについて
                D100010J09
                1. 新ダイアグシステム採用に伴い、DLC3(運転席インパネ下部に設置)に機能を集約した。

                2. DLC3の端子名称と機能
                  端子名称
                  機能
                  BAT
                  バッテリー電源
                  CANL
                  各コンピューターとのダイアグCAN通信
                  TC
                  ダイアグコード(ランプ)出力指示
                  TS
                  テストモード出力指示
                  OPA
                  フルタイム4WD整備対応
                  TAC
                  エンジン回転数出力
                  LVL
                  ヘッドライトレベリング整備対応
                  SIL
                  各コンピューターとのダイアグ通信
                  CANH
                  各コンピューターとのダイアグCAN通信
                  CG
                  ボデーアース




                1. エラー発生時の処置について
                  D031284

                  ■ 注 意 ■
                  TaSCANの電源インジケーターが点灯しない場合、またはメニュー表示時にダイアグ通信対応およびダイアグCAN通信対応のすべてのシステム名を表示しない場合は、以下の点検を行い、故障箇所を修正する必要がある。



                    D100010J06
                  1. TaSCANの電源インジケーター不灯


                    1. 他の車両にTaSCANを接続し、TaSCANを起動する。
                      作動状態
                      不具合箇所
                      点検箇所
                      TaSCANの電源インジケーターが赤または緑に点灯する場合
                      車両側
                      1. DLC3 BAT端子の電圧点検
                      2. DLC3 CG端子←→ボデーアース間の導通点検
                      TaSCANの電源インジケーターが点灯しない場合
                      TaSCAN本体
                      -



                    D032336
                  2. 診断メニューでシステム診断を押した時に、ダイアグ通信、ダイアグCAN通信対応のすべてのシステム名を表示しない。


                    1. IGスイッチおよびTaSCANの電源スイッチを一度OFFし、再度TaSCANを起動し‘戻り’キーを押して診断メニュー表示させた時の状態を確認。
                      作動状態
                      不具合箇所
                      点検箇所
                      すべてのシステム名を表示しない
                      TaSCAN本体
                      -
                      ダイアグ通信対応のシステム名を表示しない
                      車両側
                      1. DLC3の通信ラインSIL端子とジャンクション間の導通点検
                      2. DLC3の通信ラインSIL端子とジャンクション間の+B、アースとの短絡
                      ダイアグCAN通信対応のシステム名を表示しない
                      車両側
                      制御系CAN通信トラブルシューティングの進め方手順5[DLC3点検(CANH-CANL)]以降の手順でCAN通信の修正を実施
                      ダイアグ通信対応の一つのシステム名を表示しない
                      車両側
                      1. 非表示ECUのDLC3の通信ラインSIL端子とジャンクション間の導通点検
                      2. 非表示ECUのDLC3の通信ラインSIL端子とジャンクション間の+B、アースとの短絡
                      3. 非表示ECU+B、アース点検
                      4. 非表示ECU交換
                      ダイアグCAN通信対応の一つのシステム名を表示しない
                      車両側
                      制御系CAN通信トラブルシューティングの進め方手順3[ダイアグコード確認]以降の手順でCAN通信の修正を実施