前面衝突時の衝突エネルギーは，大型化したフロントバンパーリインホースメントにより左右のフロントサイドメンバーに分散するとともに，修理性を考慮したクラッシュボックスの採用や6角断面化することで高耐力化したフロントサイドメンバーにより，効率良く吸収する構造としました。

オフセット前面衝突時の衝突エネルギーは，フロントドアヒンジサイドパネルとサイドアウターパネルのすき間を縮小（A-A断面参照）し，ドアベルトライン部へのエネルギー伝達性を高めることでフロントピラーへの荷重を分散する構造としました。

ロッカー部は，前端にロッカーアウターエクステンションを設定するとともに，前出しすることでオフセット前面衝突時におけるタイヤからの衝突エネルギーを吸収し，キャビンまわりのボデー変形の抑制をはかりました。

エンジンリヤマウンティングメンバーとフロアパネルの締結部を見直すことで，前面衝突時にエンジンおよびトランスミッションから荷重が加わると離脱し，ダッシュパネルのキャビンへの侵入の抑制をはかることにより，乗員の傷害値低減に配慮した構造としました。

センターピラー部は，板厚の違う素材の結合により差厚を設けたセンターボデーピラーアッパーリインホースメントを設定し，強度分布を最適化するとともに，さらにセンターピラーアッパーヒンジNo.1リインホースメントを内部に設定し剛性を確保することで，キャビンの変形を最小限に抑える構造としました。

側面衝突時のセンターピラーからロッカー部に分散した衝突エネルギーは，シート内部のロッドを介し，フロアトンネルに伝達することで各部材を効率良く使い，ボデー変形量を低減しました。また，センターピラー上部に分散した衝突エネルギーは，ルーフサイドレールと大型ルーフリインホースメントを結合するブラケットを設定し，衝突エネルギーを効果的に伝達させることで，ルーフサイドレールのキャビンへの侵入を抑制しました。

ロッカー部は，高張力鋼板を採用したロッカーアウターパネルと断面内に設定したバルクヘッドにより，センターピラー下部などから入力される衝突エネルギーを効率良くフロアへ分散する構造としました。

フロアクロスメンバーは，ロッカーとの結合部をかさ上げした形状とし，フロア部とロッカー部の結合強化をはかるとともに，高張力鋼板を採用したガセットを設定することで強度を確保しました。（A-A断面参照）

ドアパネルは，サイドインパクトプロテクションビームを下方で各ピラーとラップするように配置することにより，衝突時のエネルギーを効率良く吸収・分散する構造としました。また，ベルトライン部やドアパネル内部のリインホースメントを最適配置することにより，ドア強度を確保しました。

フロントドア内部にエネルギーアブソーバーを設定することで，衝突時の乗員にかかる衝撃を緩和する構造としました。（A-A断面参照）

ロッカー部後端の室内側にフロアサイドパネルリインホースメントを設定し，リヤドアサイドインパクトプロテクションビームとラップさせることで強度を確保し，衝突時におけるボデー変形量の抑制をはかりました。（B-B断面参照）

全車，ボデーロワーバックパネルとの間にクラッシュボックスを設定し，低速時での衝突エネルギーを吸収します。