エアコンコンピューターは必要吹き出し温度を維持しつつ，車室内外の温度差および車室内湿度による不快感やウインドゥの曇りを防止するために必要な目標エバポレーター後温度を算出します。また，吹き出し口モードがFACE・BI-LEVEL時における各吹き出し口からの温度の上がり過ぎによる不快感やDEF時のすばやい曇り取りに配慮した目標エバポレーター後温度を算出し，これらを比較することで，車両状態に応じて最も省動力化をはかることができる目標エバポレーター後温度を決定します。これをコンプレッサー制御に用いることで，必要十分な冷房能力と低燃費を両立しています。

マグネットクラッチ　ON時にある一定の条件を満たした場合，エアコンコンピューターはコンプレッサーロックと判定し，マグネットクラッチをOFFするとともに，A/Cスイッチ内の作動インジケーターランプを点滅させます。なお，作動インジケーターランプの点滅はA/Cスイッチを押す（A/C　OFF）かOFFスイッチを押す（ブロワー　OFF）まで継続されます。

エアコンコンピューターは冷媒圧力を検知し，冷媒圧力異常が入力された場合には，この間コンプレッサーをOFFにします。

エバポレーター後センサーの検出温度が-4℃以下のとき，エアコンコンピューターはコンプレッサーをOFFにし，エバポレーターの霜付きを防止します。

エンジン始動後，エアコンコンピューターリセットから1回目の作動・ウォームアップ制御によるブロワー　OFF・エバポレーター後センサー判定や外気温度判定などによるコンプレッサー　ONの条件が満たされた場合，エアコンコンピューターは可変容量制御値に従ってコンプレッサーを60秒間ONにします。なお，上記の条件が1つでも満たされなかった場合にはコンプレッサー60秒間　ON制御を中止します。また，冷媒圧力異常判定によるコンプレッサー稼働容量OFF条件が満たされた場合，60秒間の間でもコンプレッサーをOFFにします。

以下のフロスト制御から低回転カット制御により算出されるコンプレッサー容量制御出力の最も低いものを，コンプレッサー稼働容量とし，外部可変コンプレッサー容量制御を行います。これにより，A/Cの作動状態や車両の走行状態などに合わせた効率的コンプレッサー制御を可能とし，ドライブフィーリングや燃費の向上などをはかるものとしました。

エバポレーター後検出温度・冷媒圧力を使用して，下記の算出式によりコンプッサー容量制御出力を算出し，フロスト制御を行います。なお，マニュアルDEFモード　ON/OFFの作動状態や外気温度およびニューラルネットワークによる必要吹き出し温度（TAOB’i）などから目標エバポレーター吹き出し口温度を算出し，これにエバポレーター後検出温度および協調信号（エンジンコントロールコンピューターからゲートウェイコンピューターを介して入力）を加え算出したものです。

A/CモードのON/OFFに従って，図のようにコンプレッサー稼働容量を出力します。

エンジン回転数に従って図のようにコンプレッサーの稼働容量を出力します。また，容量出力の最低値を，冷媒圧力状態により補正します。

加速時，エアコンコンピューターにエンジンコントロールコンピューターからカット信号1（発進加速時）またはカット信号2（追い越し加速時）が入力されると，エアコンコンピューターは図のようにコンプレッサーの稼働容量出力を小さくして加速時の燃料噴射量を下げるとともに，加速性を向上させます。なお，コンプレッサーの稼働容量出力の下げ量は，冷房負荷に合わせて体感温度に差を感じないように変化させています。

エンジン低回転時，エアコンコンピューターにエンジンコントロールコンピューターからカット信号3が入力されると，エアコンコンピューターは図のようにコンプレッサーの稼働容量を出力します。