VSC

●	ABS，TRCが主にブレーキ操作やアクセル操作に伴う制動時および加速時の安定性の確保を目的としているのに対して，VSCは車両の旋回方向の安定性を確保するシステムです。通常，車両はステアリング操作に従い安定的に旋回しますが，路面状況や車速，緊急旋回時などの不測の状況，または外的要因などによっては，強い後輪横滑りまたは前輪横滑り傾向になります。VSCでは，このような場合に安定性を確保させるべくエンジン出力と各車輪のブレーキ制御を自動的に行い，強い前輪横滑りまたは強い後輪横滑りを緩和します。

制御性能概要

車両の強い後輪横滑り傾向の判定

車両の強い前輪横滑り傾向の判定

VSCの作動方法

関連部品

ブレーキアクチュエーター

●	マスターシリンダーカットソレノイドバルブ，保持ソレノイドバルブ，減圧ソレノイドバルブ，ポンプおよびリザーバーなどから構成されており，各ホイールシリンダーへのブレーキ油圧を調整します。また，ブレーキアクチュエーターとスキッドコントロールコンピューターを一体化し，小型化をはかりました。

油圧回路図

ＴＲＣ作動

ヒルスタートアシストコントロールブレーキ制御

スキッドコントロールコンピューター

●	スキッドコントロールコンピューターが各センサーからの信号を処理し，ABS，TRC，VSCおよびブレーキアシストのブレーキ制御を行います。また，エンジンコントロールコンピューターと通信を行い制御信号を出力します。

イニシャルチェック機能

ヨーレートセンサー　＆　リニアＧセンサー

●

半導体式のヨーレートセンサーおよびGセンサーを一体にして小型化をはかり，センターコンソール下に取り付けました。 Gセンサーは，車両に加速度が生じるとセンサー内の可動電極が移動し，固定電極との距離が変化することから電極間の静電容量を計測して，電気信号に置き換えます。車両の前後方向に対し，それぞれ45度の傾きになるように取り付けられた2個のGセンサーの組み合わせにより，水平方向のすべてに対して減速度を感知でき，リニア出力特性と相まって，様々な路面に対してきめ細かな制御を可能としました。

●

ヨーレートセンサーは，圧電セラミックスの歪み量と方向により，車両の鉛直軸方向の回転角速度（ヨーレート，自転速度）を検出します。センサー本体の加振，信号処理に専用のICを採用し，小型化とともに信頼性の確保をはかっています。

ステアリングセンサー

●	コンビネーションスイッチ部にステアリングセンサーを設けました。操舵量と操舵方向を検出し，スキッドコントロールコンピューターに入力します。
●	センサー部は，検知ギヤに内蔵された磁石の回転を検知する磁気抵抗素子を2組持ち，検知ギヤが回転するときの磁気抵抗の変化を検出し，ステアリングの回転を検出します。