構造と作動

バックドアイージークローザーシステム

バックドアイージークローザーシステム機能

  1. 機能
    1. バックドアを半ドア状態まで閉じると,バックドアクローザーモーターが正転してバックドアを自動的に全閉状態にします。なお,バックドア全閉後に,バックドアクローザーモーターが逆転しラッチ機構を初期位置に戻す作動を行うことで,スムースな操作性を確保しています。また,クローズ作動中にバックドアオープン操作が行われた場合も同様の逆転作動を行います。
    2. バックドアを強く閉じてもシステムが作動することにより,バックドアが確実に閉じきったことを確認することができます。

バックドアイージークローザーシステム構成

  1. 構成

バックドアイージークローザーシステム構造

  1. 構造
    1. イージークローザー(バックドアロックASSY)
      1. クローズ作動(正転作動)
        1. バックドアクローザーモーターの回転がウォームギヤ→ベースギヤ→ピニオンの順に伝わります。
        2. ピニオンと連動するドリブンギヤはクローズ方向へ作動し,ピンを介してパッシブレバーが回転します。
        3. パッシブレバーの回転によりラッチレバーが押されることで,ハーフラッチからフルラッチとなり,バックドアを半ドアから全閉状態にします。
      2. リリース作動(逆転作動)
        1. バックドアクローザーモーターがクローズ方向に対して逆回転することで,ドリブンギヤはリリース方向へ作動し,ピンを介してオープンレバーが回転します。
        2. オープンレバーの回転によりリフトレバーが押されることで,ラッチを解除します。
    2. 位置検出スイッチ
    3. 位置検出スイッチ機能一覧
      名 称
      機 能
      ラッチスイッチ
      ハーフラッチスイッチ
      • ラッチの半ドア位置を検出するスイッチで,バックドア開時はON,全開→半ドア直前状態でOFFします。
      フルラッチスイッチ
      • ラッチの全閉位置を検出するスイッチで,全開→全閉状態はOFF,全閉オーバーストローク状態でONします。
      中立位置スイッチ
      • バックドアクローザーモーター・ドリブンギヤの初期位置を検出するスイッチで,バックドア開時はOFF,閉時はONします。

バックドアイージークローザーシステム制御

  1. 作動
    1. バックドアクローズ作動
      1. クローズ作動(バックドアクローザーモーター正転)
        1. バックドアが開→半ドア状態になると,ハーフラッチスイッチがON→OFFします。バックドアコンピューターがハーフラッチスイッチ OFFを0.3秒以上検知すると,Tr1・Tr3をONすることにより正転リレーをONします。このとき,逆転リレーはアース回路を形成しており電流がB端子→正転リレー→CLS端子→バックドアクローザーモーター→OPN端子→逆転リレー→アースと流れ,バックドアクローザーモーターが正転します。
        2. バックドアクローザーモーターの正転によりバックドアが全閉状態となると,フルラッチスイッチがOFF→ONします。バックドアコンピューターは正転リレーをONしてから約3秒以内にフルラッチスイッチ ONを検知すると,リレーをOFFしてバックドアクローザーモーターの正転を停止します。
        3. クローズ作動中にオープン信号の入力があった場合,「リリース信号」を記憶し,次項のクローズ復帰作動へ移行します。
        4. □ 参 考 □
          * : バックドアオープナースイッチ ON信号。

      2. クローズ復帰作動(バックドアクローザーモーター逆転)
        1. クローズ作動終了後およびクローズ作動中にオープン信号の入力があった場合,バックドアコンピューターはバックドアクローザーモーター・ドリブンギヤを初期位置に戻すため,Tr2・Tr4をONすることにより逆転リレーをONします。このとき,正転リレーはアース回路を形成しており電流がB端子→逆転リレー→OPN端子→バックドアクローザーモーター→CLS端子→正転リレー→アースと流れ,バックドアクローザーモーターが逆転します。
        2. □ 参 考 □
          * : バックドアオープナースイッチ ON信号。

        3. バックドアクローザーモーターの逆転により,中立位置スイッチがOFF→ONします。バックドアコンピューターは逆転リレーをONしてから約2秒以内に中立位置スイッチ ONを検知すると,リレーをOFFしバックドアクローザーモーターの逆転を停止します。
        4. クローズ復帰作動中にオープン信号の入力があった場合,「リリース信号」を記憶し復帰作動を続行します。
        5. □ 参 考 □
          * : バックドアオープナースイッチ ON信号。

        6. 「リリース信号」の記憶がある場合は,中立位置スイッチ ONの検出によってバックドアクローザーモーターを停止することなく,次項のリリース作動へ移行します。(「リリース信号」の記憶削除)
    2. バックドアオープン作動
      1. リリース作動(バックドアクローザーモーター逆転)
        1. バックドア全閉状態(ハーフラッチスイッチ OFF)でオープン信号が入力,または「リリース信号」により前項のクローズ復帰作動から移行すると,バックドアコンピューターはTr2・Tr4をONすることにより,逆転リレーをONしクローズ復帰作動と同様,バックドアクローザーモーターが逆転します。
        2. □ 参 考 □
          * : バックドアオープナースイッチ ON信号。

        3. リリース作動中にユーザーがバックドアを開けると,ハーフラッチスイッチがOFF→ONします。バックドアコンピューターは逆転リレーをONしてから約1秒以内にハーフラッチスイッチ ONを検知すると,リレーをOFFしバックドアクローザーモーターの逆転を停止します。
        4. バックドアコンピューターは逆転リレーをONしてから,約1秒経過(ハーフラッチスイッチ ONの検出がない状態)すると,リレーをOFFしバックドアクローザーモーターの逆転を停止(タイムアウト)します。
      2. リリース復帰作動(バックドアクローザーモーター正転)
        1. ハーフラッチスイッチ OFF→ONを検知(ユーザーがバックドアを開けた),またはタイムアウトにより逆転リレー OFF後約3秒経過(ユーザーがバックドアを開けなかった)すると,バックドアコンピューターはバックドアクローザーモーター・ドリブンギヤを初期位置に戻すため,Tr1・Tr3をONすることにより正転リレーをONし,クローズ作動と同様バックドアクローザーモーターが正転します。
        2. バックドアクローザーモーターの正転により,中立位置スイッチがON→OFFします。バックドアコンピューターは正転リレーをONしてから約1.2秒以内に中立位置スイッチ OFFを検知すると,リレーをOFFしバックドアクローザーモーターの正転を停止します。
    3. その他の作動
      1. クローズ作動中,フルラッチスイッチ OFF→ONが約3秒以内に検知されない場合(タイムアウト)はモーター故障,異物の挟み込み,またはフルラッチスイッチの故障と判断し,クローズ復帰作動に移行します。なお,連続してタイムアウトを5回カウントすると,バックドアコンピューターはイージークローザーシステムによるクローズ作動を禁止します。また,バックドアコンピューターをリセット(バッテリーまたはコネクターを脱着)するか,正常にクローズ作動が終了すると,タイムアウトのカウントをクリアし通常作動へ復帰します。
      2. □ 参 考 □
        * : タイムアウトによるクローザー作動禁止時は,手動によりバックドアを全閉してください。なお,電気式バックドアアウトサイドハンドルシステムによる電気式バックドア開作動(リリース作動)によりバックドアを開けることは可能です。

      3. バックドアが開→半ドア状態になっても,ハーフラッチスイッチ ON→OFFを検出できない場合などはクローズ作動を行いません。したがって,手動によりバックドアを全閉してください。
      4. □ 参 考 □
        * : ハーフラッチスイッチ ON故障時は,電気式バックドアアウトサイドハンドルシステムによる電気式バックドア開作動(リリース作動)も作動しません。エマージェンシーレバーによるマニュアル式バックドア開操作を行いバックドアを開けてください。(参照先 電気式ドアロックシステム−構造と作動 )なお,ハーフラッチスイッチ OFF故障時は,リリース作動は可能です。

      5. クローズ復帰作動中,中立位置スイッチ ON→OFFが約1.2秒以内に検知されない場合(タイムアウト)はモーター故障,モーターPTC作動,または中立位置スイッチの故障と判断し,「リリース信号」の記憶削除を行います。また,モーターは逆転作動を続けバックドアを強制的に開け,異常作動モードへ移行します。
      6. リリース復帰作動中,中立位置スイッチ ON→OFFが約1.2秒以内に検知されない場合(タイムアウト)はモーター故障,モーターPTC作動,または中立位置スイッチの故障と判断し,異常作動モードへ移行します。
      7. 上記以外にも中立位置スイッチの異常やバックドアクローザーモーターのPTC作動などと判断した場合は,異常作動モードへ移行します。
      8. 異常作動モードにて,バックドアクローザーモーターのPTC作動から復帰時は通常作動へ復帰します。中立位置スイッチの異常時は異常作動モード移行後,バックドア全閉状態にて,機能停止します。
      9. □ 参 考 □
        * : バックドアイージークローザーシステムは作動しません。手動によりバックドアを全閉して下さい。また,電気式バックドアアウトサイドハンドルシステムによる電気式バックドア開作動(リリース作動)も作動しません。エマージェンシーレバーによるマニュアル式バックドア開操作を行いバックドアを開けてください。(参照先 電気式ドアロックシステム−構造と作動