構造と作動

冷媒

エアコンコントロールパネル

デジタル表示プッシュ式エアコンコントロールパネル

  1. スイッチ機能
  2. 表示機能

トヨタエレクトロマルチビジョン対応エアコンコントロールパネル

  1. スイッチ機能
  2. 表示機能

エアコンユニット・エアダクト

モード位置とドア作動

  1. 作動
    1. モード位置とドア作動
    モード位置とドア作動一覧
    切り替えドア
    操作位置
    ドア位置
    作 動
    内外気切り替えドア
    FRESH
    A
    外気を導入します。
    RECIRC
    B
    内気を循環します。
    エアミックス切り替えドア
    設定温度18〜32℃
    C,D,E
    暖気と冷気との混合割合を変化させ,HOT〜COOLまで連続的に温度調整します。
    モード切り替えドア
    FACE
    M,J,P,I,S
    センターレジスターおよびサイドレジスターから吹き出します。
    BI-LEVEL
    O,K,Q,I,T
    センターレジスター・サイドレジスター・足元吹き出し口・リヤヒーターダクトから吹き出します。
    FOOT
    N,L,R,U,G*1・N,L,R,U,I*2
    サイドレジスター・足元吹き出し口・リヤヒーターダクトから吹き出します。なお,オートFOOTモード時,デフロスターからも若干吹き出します。
    FOOT/DEF
    N,L,R,U,H
    フロントデフロスター・サイドデフロスターおよびサイドレジスターより吹き出し,ウインドゥの曇りを除去するとともに足元吹き出し口およびリヤヒーターダクトより吹き出します。
    DEF
    N,L,R,S,F
    フロントデフロスター・サイドデフロスターおよびサイドレジスターより吹き出し,ウインドゥの曇りを除去しします。
    □ 参 考 □
    *1:オートFOOTモード時
    *2:マニュアルFOOTモード時

吹き出し口と風量割合

  1. 機能

ブラシレスモーター

  1. 概要
    1. ブラシレスモーターは,従来別体であったブロワーモーターとブロワーモーターコントローラーを一体化した構造とし,省スペース化をはかりました。またブラシを廃止することにより,接触部分を低減し低騒音化を可能としました。

MSエバポレーター(MS:Multi Tank Super Slim Structure)

  1. 概要
    1. MSエバポレーターは,タンク・チューブ・クーリングフィンから構成されており,チューブはプレートとプレートとの間にインナーフィンを挿入し,ロー付けすることにより,微細流路を形成し伝熱性能に優れたものにするとともに薄幅化をはかりました。また,エバポレーター本体に,防菌剤を添加した樹脂をコーティングすることにより,異臭の原因となる雑菌の繁殖の抑制をはかりました。

SFAヒーターコア(SFA:Straight Flow Aluminum)

  1. 構造と機能
    1. SFAヒーターコアは,チューブ・フィン・キャプセルから構成されており,チューブを扁平化することにより伝熱性能を向上させ暖房性能を優れたものとするとともに,小型・軽量化をはかりました。また,アルミ製を採用することにより,環境への配慮を行いました。

広角ハイフローデフロスター

  1. 概要
    1. フロントデフロスターの内壁形状を放射線状とし,吹き出しによる風の流れをスムースにすることにより,デフロスター性能の優れたものとしました。

クリーンエアフィルター

  1. 概要
    1. 車室内に吹き出す空気を清浄するクリーンエアフィルターに,成形用不織布を使用し花粉および粉塵などの粗塵(ミクロン粒子)を除去することを可能とした微細塵フィルターを採用し,全車に標準設定しました。さらに,高電荷エレクトレット繊維および添着型活性炭を使用した脱臭フィルターを採用し,全車に販売店装着オプション設定することにより,従来の花粉および粉塵などの微細塵(ミクロン粒子)の除去に加え,脱臭効率を大幅に向上させるものとしました。
    2. 取り付け位置をブロワーユニット内のブロワーファン上部とすることにより,ファンノイズを吸収し,騒音の低減をはかるとともに,グラブボックス内のカバーサブASSYおよびクリーンエアフィルターカバーを取りはずすことにより,工具を使用することなくクリーンエアフィルターの交換が行えるものとし,サービス性に優れたものとしました。また,グラブボックス内にクリーンエアフィルターインフォメーションラベルを貼り付け,クリーンエアフィルターが装着してあることを知らせるものとしました。
    3. ■ 注 意 ■
      • フィルターの交換は必ずIGをOFFにしてから行ってください。
      • フィルターは水洗いおよびエアブローなどによる清掃はしないでください。
      • フィルターの集塵能力を保つため,定期的な交換を行ってください。

サーボモーター

  1. 概要
    1. 内外気ドア切り替え用・モードドア切り替え用・エアミックスドア切り替え用の各サーボモーターを採用し,内外気ドア切り替え用サーボモーターをブロワーユニット右側面に,モードドア切り替え用およびエアミックスドア切り替え用サーボモーターをヒーター & クーラーユニット左側面にそれぞれ取り付けました。

  2. 構造
    1. 内外気ドア切り替え用サーボモーター
      1. 内外気ドア切り替え用サーボモーターは,内外気切り替えスイッチの操作信号をエアコンECUから入力し,モーターを回転(正転/逆転)させ,この動きがリンクを介して内外気ドアの開閉を行います。
    2. モードドア切り替え用サーボモーター
      1. エアコンコントロールパネルのモード切り替えスイッチの操作によるサーボモーター内の抵抗変化を,内蔵のポテンショメーターによって電圧変化としてとらえ,エアコンECUに出力します。この信号により,エアコンECUはサーボモーターを回転させ,リンクを介してモードドアの開閉を行います。
        1. ポテンショメーター
          1. 実際のモードドア位置を計測し,サーボモーター内の抵抗変化を電圧変化としてエアコンECUに出力します。
    3. エアミックスドア切り替え用サーボモーター
      1. エアコンコントロールパネルの温度設定スイッチの操作によるサーボモーター内の抵抗変化を,内蔵のポテンショメーターによって電圧変化としてとらえ,エアコンECUに出力します。この信号により,エアコンECUはサーボモーターを回転させ,リンクを介してエアミックスドアの開閉を行います。
        1. ポテンショメーター
          1. 実際のエアミックスドア位置を計測し,サーボモーター内の抵抗変化を電圧変化としてエアコンECUに出力します。

  3. 作動
    1. 内外気ドア切り替え用サーボモーター制御
      1. 内気から外気時
        1. 内外気モードが内気(RECIRC)時,サーボモーター内の可動接点は内気(RECIRC)の位置になっています。この状態からエアコンコントロールパネルの内外気切り替えスイッチを押すと,可動接点が移動し通電遮断位置Bが外気(FRESH)接点の位置まで駆動するため,電流はモーター→可動接点→内外気ドア切り替え用サーボモーター2端子→エアコンECU40端子→アースと流れモーターが回転し内気から外気に切り替わります。
      2. 外気から内気時
        1. 内外気モードが外気(FRESH)時,サーボモーター内の可動接点は外気(FRESH)の位置になっています。この状態からエアコンコントロールパネルの内外気切り替えスイッチを押すと,可動接点が移動し通電遮断位置Aが内気(RECIRC)接点の位置まで駆動するため,電流はモーター→可動接点→内外気ドア切り替え用サーボモーター1端子→エアコンECU39端子→アースと流れモーターが回転し外気から内気に切り替わります。
    2. モードドア切り替え用サーボモーター
      1. オートエアコン制御を参照してください。(参照先 モードドア切り替え用サーボモーター制御
    3. エアミックスドア切り替え用サーボモーター
      1. オートエアコン制御を参照してください。(参照先 エアミックスドア切り替え用サーボモーター制御

外気センサー

内気センサー

日射センサー

エバポレーター後センサー

圧力スイッチ

コンデンサー

サブクールコンデンサーシステム

  1. 構造
    1. 従来のレシーバーサイクル(コンデンサー+レシーバー)では,コンデンサーで凝縮後の気液2相冷媒をレシーバーにて気液分離し,液のみをエバポレーターに送っていました。サブクールコンデンサーでは,1つのコンデンサーの中を凝縮部と過冷却部とに分けて,その間に気液分離器を配置することにより,1度気液分離した液冷媒を,さらに冷やすことで液冷媒自体のエネルギー(エンタルピ)を増大させ,冷房性能の高効率化をはかりました。

サブクールサイクルガスの冷媒ガス充填

  1. サブクールサイクルでの冷媒ガス充填上の注意
    1. レシーバーサイクルでは冷媒ガスの泡消え点が冷房能力安定域(棚)の入り口にありますが,サブクールサイクルでは泡消え点が冷房安定域(棚)の手前にあるため,適正充填量まで100g補充(適正冷媒充填量:550±50g)する必要があります。(泡消え点で冷媒ガスの補充をやめると冷房能力が不足気味になります)なお,オーバーチャージも燃費悪化や冷房能力不足となりますので適正冷媒ガス量の充填を実施してください。

電動ファン

電動ファンシステム

  1. 機能
    1. エンジンコントロールコンピューターからの信号により,クーリングファンコンピューターは電動ファンを最適な回転数で制御(無段階)し,冷却性能および静粛性のバランスを保つものとしました。

  2. 作動
    1. クーリングファンコンピューターは,A/CスイッチのON/OFF信号・電動ファン制御用圧力スイッチの検出によるON/OFF信号・エンジン冷却水温信号・エンジン回転数信号をエンジンコントロールコンピューターから入力することにより,もっとも適した状態に電動ファンの回転数を制御します。

コンプレッサー

内部制御式連続可変容量コンプレッサー

  1. 構造
    1. シャフトが回転するとシャフトに直結されているラグプレートを介して斜板が一体で回転します。この斜板の回転運動をシューを介してピストンのシリンダー内での往復運動に替え,冷媒の吸入・圧縮・吐出を行います。容量の可変制御は,熱負荷に応じた低圧圧力の変化に伴い,制御弁によって斜板室内の内圧を低圧圧力〜中間圧力に制御し,この圧力変化で斜板の傾き角度を変えてピストンストロークを変化させ,吐出容量を制御します。

  2. 作動
    1. 熱負荷が大きい(室温が高い)場合の100%容量の作動
      1. 低圧圧力が上がると,制御弁のベローズが縮んでバルブを閉じるため,高圧圧力はカットされます。これにより,斜板室の内圧は徐々に低くなり,最終的には斜板室の内圧=低圧圧力となります。このため,ピストンの左面にかかる圧力(低圧圧力)+ラグプレートからの反力がピストンの右側にかかる圧力・シリンダーの内圧より低くなり,ピストンが左側に動かされて斜板の傾きを大きくします。この結果,ピストンストロークは大きくなり,100%容量の作動となります。
    2. 熱負荷が小さい(室温が低い)場合の部分容量の作動
      1. 低圧圧力が下がると,制御弁のベローズが膨らんでバルブが開くため,高圧圧力が斜板室に導かれます。これにより,斜板室の内圧が高くなります。このため,ピストンの左側にかかる圧力(車室内の内圧)+ラグプレートからの反力がピストンの右側にかかる圧力より高くなり,ピストンが右側に動かされて斜板の傾きを小さくします。この結果ピストンストロークは小さくなり,部分容量の作動となります。

エアコンECU

オートエアコン制御システム

  1. 作動
    1. ファジー制御(非線形制御)
      1. 従来のオートエアコン制御は,設定温度に対して各センサーからの温度情報をもとに,エアコンECUが決められた計算式にしたがって必要吹き出し温度TAO(熱負荷)を算出し,この算出されたTAO(熱負荷)に対して各サーボモーターおよびブロワーモーターを自動的に制御することにより,車室内の温度を安定した状態に保持し乗員への快適性をはかっていました。しかし,TAO(熱負荷)ですべての制御が一義的に決定される従来のオートエアコン制御では制御の自由度が低い(線形式の集まり)ものでした。(図A)そこでよりきめ細かい制御を実現するために,ファジー制御(非線形制御-図B)を採用しました。ファジー制御は,関数の定義により温度偏差・外気温・日射量それぞれの適合度を定める(図C)とともに,ファジー演算方法(代数積加算重心法)を使用して必要吹き出し温度(TAO)およびブロワー風量を算出(ファジールール表-図D)し,これをもとにエアコンECUは,吹き出し温度・風量・吹き出し口の各制御を行います。
      2. □ 参 考 □
        *:必要吹き出し温度(TAO)は,ファジー演算方法(代数積加算重心法)により算出されたTAO’を用いて計算式によって求められます。

    2. 温度偏差
      1. 内気温度および温度設定スイッチの入力から,エアコンECUは温度偏差(Tdi)を計算し,ファジー制御に応用しています。
    3. 必要吹き出し温度(TAO:Temperature Air Outlet)
      1. エアコンECUは必要吹き出し温度(TAO)を計算し,モードドア切り替え用およびエアミックスドア切り替え用の各サーボモーターの制御を行います。
    4. 吹き出し口温度制御
      1. MAX固定温度
        1. 設定温度がMAX COOLのときは必要吹き出し温度を−200℃に,MAX HOTのときは+200℃に固定して制御します。
      2. エアミックスドア切り替え用サーボモーター制御
        1. 温度設定スイッチによる設定値に対して,エアコンECUは必要吹き出し温度(TAO)を算出します。この必要吹き出し温度(TAO)にエバポレーター後センサーおよび水温センサーによる補正を加えることにより,仮の目標ドア開度を算出します。この仮の目標ドア開度から真の目標ドア開度を算出し,エアミックスドア切り替え用サーボモーターを任意の位置まで回転させます。また,算出された目標ドア開度に対してエアミックスドア切り替え用サーボモーター内のポテンショメーターで実際のドア開度を検出することにより,目標ドア開度と実際のドア開度が一致するように制御します。
    5. 風量制御
      1. マニュアル制御
        1. ブロワースイッチの操作位置に応じた風量にします。
      2. オート制御
        1. エアコンコントロールパネル内のAUTOスイッチをONすると,各センサーなどからの入力条件により,風量多段階(ファジー制御)・ウォームアップ・遅動風量の各制御を行います。
          1. 風量多段階制御
          2. エアコンコントロールパネル内のAUTOスイッチをONすることにより,ファジー演算によって算出されたブロワー風量にしたがって,エアコンECUの電圧でブラシレスモーターを自動的に制御し,風量を多段階に制御します。
          3. ウォームアップ制御
          4. 吹き出し口モードがFOOTまたはBI-LEVELの冷間時にはブロワーモーターをOFFし,冷却水温(エンジン制御用水温センサーの検知温度)が一定以上になるまで,ブロワーモーターを停止します。冷却水温がT2になるとブロワーモーターがLOで回転し,T1℃以下ではブロワーモーターをOFFします。冷却水温がT2〜T3℃までは冷却水温による算出風量と必要吹き出し温度(TAO)から算出される風量とを比較し,いずれか少ない方の風量で自動的に制御します。冷却水温が75℃になるとブロワーモーターをHI回転させ,その後は必要吹き出し温度(TAO)の算出風量にしたがって制御します。
          5. 遅動風量制御
          6. エバポレーター後センサーの検出温度によって2種類の遅動風量制御を行うことにより,吹き出し口モードがFACEまたはBI-LEVEL時におけるセンターレジスターからの熱風の吹き出しを防止しています。
          7. エバポレーター後センサー温度が高い(30℃以上)とき
          8. 約6秒間はブロワーモーターをOFFし,コンプレッサーをONして,エアコンユニットを冷却します。約6秒後,ブロワーモーターをマニュアルLOモードで回転させることにより,冷却された風が吹き出し口から吹き出し,熱風の吹き出しによる不快感を防止しています。約11〜17秒間は,遅動算出風量と必要吹き出し温度(TAO)の算出風量とを比較し,いずれか少ない方の風量で自動制御します。約17秒経過した後は,必要吹き出し温度(TAO)の算出風量にしたがって制御します。
          9. エバポレーター後センサー温度が低い(30℃未満)とき
          10. 約7秒間はブロワーモーターをマニュアルLOモードで回転させます。その後,約13秒まで遅動算出風量と必要吹き出し温度(TAO)の算出風量とを比較し,いずれか少ない方の風量で自動制御します。約13秒経過した後は必要吹き出し温度(TAO)の算出風量にしたがって制御します。
    6. 吹き出し口制御
      1. マニュアル制御
        1. モード切り替えスイッチの操作位置に応じた吹き出し口に切り替えます。
      2. オート制御
        1. モードドア切り替え用サーボモーター制御
          1. エアコンコントロールパネル内のAUTOスイッチをONすることにより,必要吹き出し温度(TAO)により算出された目標ドア開度(図A)にしたがって,モードドア切り替え用サーボモーターを任意の位置まで回転させます。また,算出された目標ドア開度に対してモードドア切り替え用サーボモーター内のポテンショメーターで実際のドア開度を検出することにより,目標ドア開度と実際のドア開度が一致するように制御します。
    7. 吸い込み口制御
      1. マニュアル制御
        1. 内外気切り替えスイッチの操作位置に応じた吸い込み口に切り替えます。
      2. 高水温時強制RECIRC制御
        1. エンジンコントロールコンピューターから高水温時内気切り替え信号が入力されると,内外気ドア切り替え用サーボモーターを強制的に内気に切り替えます。なお,A/C OFFモード時・冷媒圧力検知信号 OFF・コンプレッサーロック判定=ロックになると通常の制御に戻ります。
    8. コンプレッサー制御
      1. コンプレッサー始動時保護制御(1JZ系エンジン搭載車)
        1. 外気センサーの検出温度とエバポレーター後センサーの検出温度およびエンジン回転数が低い場合には,コンプレッサーのマグネットクラッチを強制的にOFFします。
      2. 冷媒圧力異常判定
        1. エアコンECUはエンジンコントロールコンピューターを介して冷媒圧力を検知し,冷媒圧力異常が入力された場合には,この間エアコンECUはコンプレッサーのマグネットクラッチをOFFします。
      3. コンプレッサーロック判定(1JZ系エンジン搭載車)
        1. マグネットクラッチ ON時に下記の条件を満たした場合,エアコンECUはコンプレッサーロックと判定し,マグネットクラッチをOFFするとともに,A/Cスイッチ表示(トヨタエレクトロマルチビジョン装着車)またはA/Cスイッチ内の作動インジケーターランプ(トヨタエレクトロマルチビジョン非装着車)を点滅させます。なお,A/Cスイッチ表示および作動インジケーターランプの点滅はA/Cスイッチを押す(A/C OFF)かOFFスイッチを押す(ブロワー OFF)まで継続されます。
        2. 判定条件
          スリップ率80%以上の状態が3秒以上継続したとき(ただし,エンジン回転数が450r/min以上のとき)
      4. エバポレーター後センサー判定(1JZ系エンジン搭載車)
        1. エバポレーター後センサーの検出温度がt1℃以下のとき,エアコンECUはコンプレッサーのマグネットクラッチをOFFし,エバポレーターの霜付きを防止します。
      5. オートECON制御(1G-FEエンジン搭載車)
        1. 吹き出し口モードがDEF以外時でA/CをONすると,エアコンECUはA/C ON後5分間はA/Cモードとし,エバポレーター後センサーの検出温度によってマグネットクラッチのON/OFF制御を行います。
        2. A/C ONから5分以降はオートエアコン制御となり,外気センサーの検出温度(外気温度)と必要吹き出し温度(TAO)それぞれから算出されたマグネットクラッチのON/OFF制御温度のいずれか低い方の算出温度をマグネットクラッチON/OFF制御温度とします。
        3. この制御により,必要冷房性能および除湿性能とA/C ON時における燃費を両立させたコンプレッサー制御を可能としています。
        4. なお,吹き出し口モードがDEF時は常にA/Cモードとし,エバポレーター後センサーの検出温度によってマグネットクラッチのON/OFF制御を行います。吹き出し口モードをDEF以外に切り替えた場合,一定時間後オートECON制御に移行します。
      6. 稼働率制御・減速時制御(1G-FEエンジン搭載車)
        1. エバポレーター後センサー判定によるコンプレッサー制御時,エアコンECUは,エンジンコントロールコンピューターを介してエンジン回転数を入力することにより,エンジン回転数が高い場合には,コンプレッサーをOFFする割合を上げるように制御し,トータルでエアコン消費動力を減少させます。(稼働率制御)また,エンジンブレーキによる減速時には,コンプレッサーをONする確率を高めるとともに,エンジン回転数が高い加速時にはコンプレッサーをONする頻度を低くし,エアコン作動時における燃料消費を低減させます。(減速時制御)
      7. DEF連動制御
        1. 吹き出し口モードをDEFにすると,自動的にA/CスイッチをONしてコンプレッサーを作動させます。なお,このときA/CスイッチをOFFすることができます。また,ブロワー OFF状態でDEFスイッチをONすると,ブロワーはAUTO状態で起動します。
      8. オートモード制御
        1. 外気モード時に外気センサーの検出温度が特定の温度以下になるとエアコンECUは自動的にエアコンをOFFします。
      9. コンプレッサー60秒 ON制御
        1. エアコンECUは下記の条件成立時,マグネットクラッチを60秒間強制的にONし,窓曇りを防止しています。
        2. 作動条件
          • A/Cモード ON時。
          • ブロワーウォームアップ制御時においてブロワー OFF条件成立時。
          • エバポレーター後センサー判定によるONモード時。
          • リセット後1回のみ。
    9. 外気温度補正・表示制御
      1. エンジンコントロールコンピューターからの外気センサー出力信号をもとにして外気温を算出するとともに,スキッドコントロールコンピューターから出力された車速信号およびイグニッションスイッチ状態などをもとに補正・演算処理し,メーターコンピューターを介してマルチディスプレイ(トヨタエレクトロマルチビジョン装着車)またはクロックASSY(トヨタエレクトロマルチビジョン非装着車)に外気温を出力します。
    10. リヤウインドゥデフォッガー制御
      1. リヤウインドゥデフォッガーのON/OFFはマニュアル操作によっても行えますが,リヤウインドゥデフォッガースイッチをONしたまま15分経過すると自動的にOFFします。
    11. S2000対応制御
      1. 車両外部端子(DLC3)にS2000(サービスツール)を接続,操作することによってダイアグコード出力・各種データー出力などを行うことができます。
      2. S2000対応機能
        機能名称
        内 容 
        ダイアグノーシス出力機能
        • ダイアグノーシス制御のセンサーチェックにより判定した,正常および現在故障の表示コードをMPXボデーコンピューターに出力する。
        ダイアグ情報消去機能
        • ダイアグノーシス制御のセンサーチェックの過去故障を解除する。
        データー出力機能
        • 外気・水温センサーの各入力値および外気温表示値。
        • ブロワーレベル。
        • 設定温度。
        • 必要吹き出し温度(TAO)をMPXボデーコンピューターに出力する。
        アクチュエーターチェック機能
        • ダイアグノーシス制御のアクチュエーターチェック連動動作にしたがって制御出力を行う。
        カスタマイズ機能
        • MPXボデーコンピューターからの情報にしたがい,設定温度±1℃,±2℃シフトを行う。
        • クリーンエアフィルターの有無情報を記憶させる。
    12. ダイアグノーシス制御
      1. 表示部・各センサー・アクチュエーターなどの異常が発生した場合に異常を記憶し,エアコンコントロールパネルによって,点検作業者にダイアグコードを知らせるパネルダイアグノーシスを採用しました。
      2. パネルダイアグノーシス機能
        チェック項目
        内 容 
        インジケーターチェック
        • モード,温度設定表示の点滅およびブザー吹鳴。
        センサーチェック
        • センサーの故障状態(過去・現在)のチェック。
        • 過去故障データーのクリア。
        アクチュエーターチェック
        • アクチュエーターチェックパターンの出力。
        1. 操作方法
        2. インジケーターチェック
          1. エアコンコントロールパネル内のAUTOスイッチと内外気切り替えスイッチを同時に押しながら,イグニッションスイッチをOFF→ONにするとエアコンコントロールパネル内の各作動インジケーターランプおよび温度設定表示部が全点灯します。インジケーターチェックを4回繰り返した後に,センサーチェックに進みます。
          2. 表示一覧
            項 目
            ON
            OFF
            LED他表示
            全灯
            消灯
            LCD表示
            全灯
            消灯
            ブザー
            40msec間 ON
            OFF
            □ 参 考 □
            *:トヨタエレクトロマルチビジョン装着車のみ

        3. センサーチェック
          1. インジケーターチェック終了後,自動的にセンサーチェックに移行し,設定温度表示部に表示をします。センサーチェック機能には,過去に故障が発生し,現在は正常な「過去故障」と現在も故障が継続している「現在故障」との2種類があります。また,故障が2箇所以上の場合には,フロントデフロスタースイッチを押すことによりステップ動作となり,故障箇所を1箇所ずつ表示します。
          2. 故障判定一覧
            SAEコード
            設定温度表示部
            故障内容
            判定時間
            B1400
            00
            正常
            B1411
            11
            内気センサーが断線またはショート
            8.5分以上継続
            B1412
            12
            外気センサーが異常
            8.5分以上継続
            B1413
            13
            エバポレーター後センサーが断線またはショート
            8.5分以上継続
            B1421
            21
            日射センサーが断線またはショート
            8.5分以上継続(断線)
             
             
             
            現在故障のみ(ショート)
            B1422
            22
            コンプレッサーがロック
            現在故障のみ
            B1423
            23
            冷媒圧力異常
            現在故障のみ
            B1431
            31
            エアミックスドア切り替え用サーボモーターポテンショが断線またはショート
            1分以上継続
            B1433
            33
            モードドア切り替え用サーボモーターポテンショが断線またはショート
            1分以上継続
            B1441
            41
            エアミックスドア切り替え用サーボモーターポテンショが作動不良
            15秒以上継続
            B1443
            43
            モードドア切り替え用サーボモーターポテンショが作動不良
            15秒以上継続
            B1499
            99
            ボデー系多重通信異常
            現在故障のみ
            □ 参 考 □
            * : 開度減少方向出力のとき時間t経過しても実開度が20%以上のときおよび開度増加方向出力のとき時間t経過しても実開度が80%以下のとき判定条件とします。

            故障条件と表示
            状 況
            検出条件
            解除方法
            表 示
            過去故障
            判定レベル・時間を満足したとき
            • バックアップ電源(+B電源)をOFFにする。
            • センサーチェックモード中にフロントデフロスタースイッチを押しながらリヤウインドゥデフォッガースイッチを押す。
            表示点滅
            現在故障
            現在の入力値が,判定レベルを満足するとき
            • 入力値が正常に戻ると解除。
            表示点滅,ブザー鳴動
        4. アクチュエーターチェックパターン
          1. センサーチェック終了後,内外気切り替えスイッチを押すとアクチュエーターチェックに移行します。チェックパターンは計10パターンあり,連続して表示されます。なお,フロントデフロスタースイッチを押すとステップ動作となります。
          2. アクチュエーターチェックパターン
            表示コード(設定温度の1の桁)
            ブロワーレベル
            吹き出し口
            吸い込み口
            コンプレッサー
            A/M切り替えドア
            0
            0
            FACE
            外気
            OFF
            最大冷房
            1
            1
            2
            17
            A/C ON
            3
            内気
            4
            中間値
            5
            BI-LEVEL
            6
            FOOT
            最大暖房
            7
            8
            FOOT/DEF
            9
            31
            DEF

オートエアピュリファイヤー(光脱臭付)

オートエアピュリファイヤー本体

  1. 構成
    1. エアピュリファイヤーは,ブロワーファン & モーター・スモークセンサー & アンプリファイヤー・キセノンランプ・光触媒機能付きフィルターなどから構成されています。

空気清浄の流れ

  1. 構造
    1. ブロワーファンによって車室内の空気を左側エアダクトから取り入れ,光触媒付きフィルターで粉塵・花粉・タバコの煙などをろ過し,さらにキセノンランプよる光脱臭を行い,右側エアダクトから車室内に再び吹き出します。

光脱臭システム

  1. 原理
    1. キセノンランプの光を受けた光触媒(酸化チタン)が空気中の酸素および水蒸気から活性酸素種(O2-・OH)を生成します。これらがフィルター内の活性炭により吸着された臭気成分(有機化合物)と反応し,臭気成分を二酸化炭素や水蒸気などに分解することにより,臭気を取り除きます。

スモークセンサー & アンプリファイヤー

  1. 概要
    1. スモークセンサーとアンプリファイヤーを一体化しました。
    2. コントロールスイッチがAUTOモード時,通常はLOモードで作動しており,スモークセンサーが基準値以上の煙を検知した場合,自動的にブロワースピードをHIモードとし,煙を除去します。
    3. 取り付け位置は,オートエアピュリファイヤー中央部としました。(参照先 オートエアピュリファイヤー本体

  2. 作動
    1. コントロールスイッチをAUTOに操作すると,電流はコントロールスイッチからオートエアピュリファイヤー内のスモークセンサー & アンプリファイヤーに電流が流れ,ブロワーモーターは通常LOモードで回転します。
    2. スモークセンサーが基準値以上の煙を検知すると,アンプリファイヤー内の判定回路に信号が入力され,判定回路はアンプリファイヤー内部のブロワーリレーをONし,ブロワーモーターはHIモードで回転します。
    3. 煙が基準値以下となり,スモークセンサーからの信号の入力がなくなると,判定回路は約1分間ブロワーリレーをONし続けてブロワーモーターをHIモードで回転させた後,通常のLOモードでブロワーモーターを回転させます。
    4. マニュアル操作時にコントロールスイッチをLOモードにするとレジスターを通してブロワーモーターに電流が流れ,LOモードで回転します。また,HIモードにすると直接電流がブロワーモーターに流れ,HIモードで回転します。
    5. なお,キセノンランプは,IG ON時に常時点灯し,脱臭および殺菌を行います。

コントロールスイッチ

  1. 概要

光触媒機能付きフィルター

  1. 概要
    1. 高電荷エレクトレット繊維を使用した除塵層と活性炭および光触媒を使用した脱臭層を合わせ持った光触媒機能付きフィルターを採用しました。
    2. オートエアピュファイヤー左側面部に取り付けのスライド式のフィルターカバーをはずす(手前に引く)ことにより,フィルターの交換を容易に行える構造とし,フィルター交換時におけるサービス性に優れたものとしました。なお,オートエアピュリファイヤー前部にインフォメーションラベルを貼り付けることにより,フィルターの定期的な交換を行うよう指示するものとしました。
    3. ■ 注 意 ■
      • フィルターの交換は必ずIGをOFFにしてから行ってください。
      • フィルターの集塵能力を保つため,定期的な交換を行ってください。

オートエアピュリファイヤー取り扱い上の注意