開発のねらい(走行性能)

エンジン

特徴

  1. 1JZ-FSEエンジン
    1. 筒内直接燃料噴射システム(D-4)
      1. 筒内直接燃料噴射システム(D-4:Direct injection 4-stroke gasoline engine)は,高圧化された燃料をシリンダー内に直接噴射します。噴射時期を制御することで,燃焼方式を,「成層燃焼」と「均質燃焼(理論空燃比)」に切り替えることにより,画期的な燃費向上がはかれます。
        1. 成層燃焼
          1. 成層燃焼とは,点火プラグ近傍に可燃混合気層を形成し,さらにその周辺に空気層を形成することで,全体としては極めて希薄な混合気でありながら,安定した燃焼を実現する超希薄燃焼方式(ウルトラリーンバーン)のことです。
    2. 第2世代D-4システムの特徴
    3. 主な特徴
      ・気流に依存しない成層燃焼 ・新開発の高圧スリットノズルインジェクターによる扇形燃料噴射
      ・ピストン頂部の浅皿コンパクト燃焼室 ・独立ストレートインテークポート
      ・気流制御弁による均質燃焼改善 ・新開発の小型・軽量高圧フューエルポンプ
      ・低圧側の燃圧制御をフューエルタンク内に設置したプレッシャーレギュレーターで行うリターンレスシステム
      ・低圧側燃圧アップなどにより,コールドスタートインジェクターを廃止 
      ・新開発リンクレス式の電子制御スロットルシステム ・ステップモーター式E-EGRバルブ
      1. 高圧スリットノズルインジェクター
        1. 直噴ガソリンエンジンで,より一層の低燃費を実現するためには,高速・高負荷域まで安定した成層燃焼を実現することが必要です。そのために,高圧スリットノズルインジェクターを新たに開発しました。
        2. 高圧スリットノズルインジェクターにより噴霧燃料は高微粒化されるとともに,扇状に大きく広がることが可能となり,空気を大量に巻き込みながらピストン頂面の燃焼室内に噴射されます。その高圧で噴射された燃料は,気流の助けを借りることなく,スパークプラグ周辺に安定したボリュームの大きな可燃混合気を形成できるため,成層燃焼の領域を拡大することが可能となりました。また,吸入空気にスワールを与える必要がなくなるため,インテークポート形状をストレートにすることが可能になり,充填効率が高められ,特に実用域でのトルクのさらなる向上を実現しました。
      2. ETCS-i
        1. 電子制御スロットル
          1. アクセルポジションセンサーをアクセルペダルに配置した,リンクレス式の電子制御スロットルを採用しました。
          2. 運転者の操作(アクセルペダル踏み込み量)は,アクセルペダルに配置されたアクセルポジションセンサーにより,エンジンコントロールコンピューターに伝えられ,エンジンコントロールコンピューターは運転状態に合ったスロットル開度を決定してスロットルモーターを駆動します。なお,スロットルバルブ開度は,スロットルポジションセンサーによりエンジンコントロールコンピューターにフィードバックされます。

トランスミッション

特徴

  1. NAVI・AI-SHIFT
    1. ナビゲーションシステムからの道路形状情報(コーナー・交差点)と車両から得た登降坂情報に基づいて,これから走行する道路状況および運転者操作(アクセル・ブレーキ操作)をシフト制御に反映させるシステムです。これにより,AI-SHIFTよりもさらにきめ細やかな変速段選択が可能となり,ワインディング路など様々な道路で適切なエンジンブレーキ力・駆動力が得られ,ドライバビリティーを向上させることができました。
    2. AI-SHIFTは,5速・4速の2段の変速段を道路勾配と運転者操作に応じて選択しますが,NAVI・AI-SHIFTは,5速・4速・3速の3段の変速段を道路形状・勾配,運転者操作に応じて選択するものとしました。
    3. NAVI・AI-SHIFTは,ナビゲーションの経路案内時以外でも制御の実施を可能としました。
    4. NAVI・AI-SHIFTは,メーター内に変速段表示とNAVI・AI-SHIFTの実施中表示(NAVI-ECT)を行うものとしました。

サスペンション

ステアリング

特徴

  1. 車速感応型(バルブ感度可変式)パワーステアリング
    1. 油圧反力式に比べて,大幅な軽量化を行うとともに,ステアリング剛性を一定とすることにより,路面からの情報がダイレクトに伝わる自然なステアリングフィーリングを実現しました。また,キックバック入力時に操舵トルクの急激な増加を抑えることで,コーナリング中の操舵安定性も向上させています。

  2. エンジン回転数感応型パワーステアリング
    1. パワーステアリングロータリーバルブを最適化することで,路面外乱の影響を低減し,ステアリング切り始めの手応えの向上と穏やかな車両挙動化をはかり,優れたステアリングフィーリングを実現しました。