構造と作動

パワーシート

電動アジャスター

  1. スライド機構
    1. 構造
      1. スライドスイッチを操作するとスライド用モーターが回転し,モーターの回転はシートスライドハウジング内のウォームギヤを介してシートスライドスクリューに伝達されます。
      2. シートスライドスクリューは樹脂ナットとかみ合っていますが,樹脂ナットはナットホールドブラケットを介してシートトラックロワーレール側に固定されているため,伝達された回転により,シートスライドスクリュー側がシートトラックロワーレールに対して前後方向に移動します。これにより,シートスライドスクリューを取り付けているシートトラックアッパーレールがスライドします。なお,2WD車および4WD車の運転席は225mm,4WD車の助手席は150mmのスライド調整が行えます。

  2. フロントバーチカル機構
    1. 構造
      1. スライドスイッチの前端部を上または下側に操作するとフロントバーチカルモーターが回転し,モーターの回転はフロントバーチカルハウジング内のウォームギヤを介してバーチカルスクリューを前後に移動させます。
      2. バーチカルスクリューの先端にはリンク(1)が取り付けられており,リンク(1)がバーチカルスクリューの前後方向の動きをフロントバーチカルロッドの回転として伝達することにより,フロントバーチカルロッドがリンク(2)・(3)を介して,シートクッションブラケットを上下させます。なお,フロントバーチカルは上下30mmの調整が行えるものとしました。

  3. リフター機構
    1. 構造
      1. スライドスイッチの後端部を上または下側に操作するとリフター用モーターが回転し,モーターの回転はリフターハウジング内のウォームギヤを介してリフタースクリューを前後に移動させます。
      2. リフタースクリューの先端にはリンク(1)が取り付けられており,リンク(1)がリフタースクリューの前後方向の動きをリフターロッドの回転として伝達することにより,リフターロッドがリンク(2)を介してロワーアーム後端部の上下方向の動きとして伝達し,これに伴いロワーアーム前端部に取り付けられたリンク(3)が,リンク(2)の動きに合わせてロワーアーム前端部を上下させるため,ロワーアーム全体が上下動します。なお,リフターは上下50mmの調整が行えるものとしました。

  4. リクライニング機構
    1. 構造
      1. リクライニングスイッチを操作するとリクライニング用モーターが回転し,モーターの回転はリクライニングギヤボックス内のドライブギヤとコネクティングギヤを介してリクライニングヒンジピンに伝達されます。
      2. リクライニングヒンジピンには,ヒンジピン回転軸A点に対してオフセットされた中心B点を持つカム部を設定しており,ヒンジピンが回転するとカム部はループ状(A図)の軌跡を描いて回転します。
      3. シートクッション側に取り付けられたリクライニングヒンジピンカム部に外歯ギヤを設定し,シートバックフレーム側に取り付けられたリクライニングインナーブラケットの内歯ギヤとかみ合わせています。リクライニングインナーブラケット側の内歯ギヤ歯数は,カム部の外歯ギヤ歯数に対して1歯多く設定されているため,外歯ギヤがループ状(A図)の軌跡を描きながら1回転するごとに,外歯ギヤと内歯ギヤのかみ合う位置が変わり,リクライニングインナーブラケットが徐々に移動します。

  5. ランバーサポート調整
    1. 機構
      1. 運転席シートのアウター側シートクッションシールド内に取り付けられたランバーサポートスイッチを操作することにより,シートバックに内蔵のトーションバーを無段階に前後調整できるものとしました。
      2. ランバーサポートの両サイドをシートバックフレームに取り付けました。また,トーションバーをシートバックスプリングの後部に設定して,シートバックスプリング全体を押し出す構造とすることにより,シートバックの突起感のない均一な支持力を得ることができるよう配慮しました。
      3. ランバーサポートスイッチを操作してランバーサポートモーターが回転すると,ピニオンギヤを介してドリブンギヤが回転します。トーションバーの一端はドリブンギヤに取り付けられており,ドリブンギヤが回転すると支点Aを軸にトーションバーが前後します。