構造と作動
インテーク全般
吸気MIシステムの採用により,吸気効率の向上による高性能化をはかりました。また,構成部品点数の削減と樹脂製インテークマニホールドの採用による軽量化およびエアクリーナーケースのエンジン直上搭載によりエンジン放射音を低減し,静粛性を確保しました。
フレームやゴムシールを用いないフルファブリックエアエレメントを採用し,軽量化をはかるとともにエレメントの廃棄性に配慮しました。
ACIS(Acoustic Control Induction System:可変吸気システム)を採用し,吸気管長の最適化をはかりました。(参照先 エンジン−インテークエアコントロールシステム[1G-FE,1JZ-FSE]
)
エアクリーナー
エンジンルーム前面に配置されたエアインレットからエアクリーナーまで最短距離でレイアウトし,スムースな大気の吸入をはかりました。また,エアインレット中央のスリットにより吸入空気の脈動低減をはかりました。
エアインレット通路中央に大型のレゾネーターを設け,吸気騒音の低減をはかりました。
エアクリーナーケースをエンジンの直上に配置し,スロットルボデーまでの距離を短縮しました。これにより構成部品を大幅に削減でき,軽量化がはかれます。また,エンジン本体からの放射音を低減する効果があります。
シリンダーヘッドカバー2・3との一体感を持たせ,高級感のある意匠としました。
構 造
フルファブリック異形エアエレメント
フレームレスタイプを採用し,ろ過性能を充分に確保しつつ小型・軽量化をはかりました。
エレメント縁の凸部とエアクリーナーキャップの凹部を組み合わせ,エアクリーナーケースにスライド挿入することにより,フレームを用いずに密閉します。この構造によりメンテナンス性の向上をはかりました。
インテークマニホールド
インテークマニホールド・エアコネクター・サージタンクを樹脂で形成し,バキュームタンクなどの機能部品を集約して一体成型し,大幅な軽量化をはかりました。また,ポート長を延長するためドラム形状としました,この形状により剛性の向上と吸気騒音の低減をはかりました。
エアコネクター(アッパー・ロワー)に密閉された空間をバキュームタンクとして形成し,チェックバルブを設けました。
サージタンクステーの取り付け部を高剛性化し,振動の低減をはかりました。
スロットルボデー
ダウンドラフトタイプを採用し,吸気効率の向上をはかりました。また,樹脂製スロットルレバーの採用およびロータリーソレノイドISCVの一体化により小型・軽量化をはかりました。
インテークマニホールドとの取り付け部(オグジュアリエアインレット上面)にメッシュ付きガスケットを採用しました。吸入空気がメッシュ部を通過する際に吸気脈動が細分化され,マニホールド内での吸入空気の整流に効果をもたらします。
スロットルボテーに取り付けられたR-ISCV(ロータリーソレノイドISCV)により,スロットルボテーのバイパス通路を流れる空気量を調整してエンジン状態に応じた目標回転数に制御します。
構造と作動
ISCV制御
各センサーからの信号によりR-ISCVに制御信号(デューティー信号)を送り,アイドル回転数を目標値に制御します。
冷間時,アイドルアップ時を含む全アイドル状態で制御を行い,回転数を必要最低限まで下げて燃費の向上をはかりました。
パワーステアリングの信号は,パワーステアリング油圧センサーでリニアに制御します。
始動時制御
エンジン始動時および始動後数秒間デューティー比を上げて空気量を多くし,エンジン始動性の向上をはかります。また,始動後は冷却水温に応じてデューティー比を変化させ,ファーストアイドル回転数を制御します。
予測制御
電気信号が変化した場合,エアコンスイッチが切り替えられた時およびA/T車のシフトレンジが切り替えられた場合にはエンジンにかかる負荷が変化して回転数が変化するため,これらの信号を検出したときはそれぞれの条件に応じた信号をISCVに送り,回転数の変動を抑えます。
減速時制御
減速時に空気流量を多くすることによりサージタンク内の負圧を下げ,燃焼室に吸引されるオイルの消費量低減とエンジン回転数の落ち込みによるエンストの防止および減速時の運転性の確保をはかります。
フィードバック制御
ある一定時間エンジン回転数を計測し,目標回転数と差がある場合にISCVに信号を送り,吸入空気量を制御して目標回転数にします。
目標回転数
目標回転数 [r/min]
650
エアコン制御
エアコンコンプレッサーON時直前にISC制御を行い,コンプレッサーの作動感を感じさせない制御を行います。また,以下の条件時はエアコンコンプレッサーをカットし,運転性の向上をはかります。
条 件
エンジン回転数が規定値以下で,エンジンコントロールコンピューターが加速状態と判断した場合
シフトポジションを"N"→"D"レンジに切り替えたとき(ECTコントロールコンピューターが要求したとき)
エンジン回転数が規定値以下のとき