DTC P1300/14 イグナイタ1系統

準備品一覧

回路解説

1JZ−GTEはTDIが採用になり、これにより、イグニッションタイミングの精度を増し、高電圧による損失を減らし、分配器を削除することによるイグニッションシステムの全体的な信頼度が高まる。TDIとは2気筒のシリンダが同時に点火されるイグニッションシステムで、1つのイグニッションコイルで2気筒のシリンダが同時につながっている。2本のスパークプラグのそれぞれがセカンダリーワインディングにつながっており、そのセカンダリーワインディングで発生する高電圧は直接スパークプラグにかかる。この2本のスパークプラグの火花は、センターエレクトロードからグランドエレクトロードに同時に抜ける。イグニッションタイミングはECUにより決定され、ECUは各シリンダに向けてイグニッションシグナル(IGT)を出力する。そのIGTシグナルに基づいて、イグナイタにより全イグニッションコイルに向けたイグニッションシグナル(IGT)が制御される。それと同時に、フェールセーフ測定手段としてのイグニッションの点火確認シグナル(IGF)がECUに送信される。

DTC No.
DTC検出条件
1.診断条件 2.異常状態 3.異常期間 4.その他
トラブルエリア
P1300/14
1.エンジン回転中
2.IGT1信号が出力されているにもかかわらずIGF信号が入力されない状態。
3.1秒以上
4.1トリップ
  • エンジンECU−NO.1IGコイル間の+BもしくはIGF、IGT1系統断線または短絡。
  • NO.1イグニシヨンコイル
  • エンジンコントロールコンピユータ
P1300/14
1.エンジン回転中
2.IGT2信号が出力されているにもかかわらずIGF信号が入力されない状態。
3.1秒以上
4.1トリップ
  • エンジンECU−NO.2IGコイル間の+BもしくはIGF、IGT2系統断線または短絡。
  • NO.2イグニシヨンコイル
  • エンジンコントロールコンピユータ
P1300/14
1.エンジン回転中
2.IGT3信号が出力されているにもかかわらずIGF信号が入力されない状態。
3.1秒以上
4.1トリップ
  • エンジンECU−NO.3IGコイル間の+BもしくはIGF、IGT3系統断線または短絡。
  • NO.3イグニシヨンコイル
  • エンジンコントロールコンピユータ

配線図

点検手順

□ 参 考 □
  • DTC P1300/14が表示されるなら、NO.1イグニッシヨンコイル回路を点検。
  • S2000を用いてフリーズフレームデータを読み取る。フリーズフレームデータには不具合発生時のエンジン稼動状態の一部を記録してあり、それらの情報がトラブルシュートする際に役立つ。
  • 以下はNO.1シリンダの点検方法を示してあります。NO.1シリンダ以外の不具合が発生している場合は、以下の手順を参考に該当シリンダ回路を点検する。

手順1
火花点検(要領はXX-XXX 参照)
特定の気筒のみ火花が飛ばない
全ての気筒で火花が飛ばない
全ての気筒で火花が飛ぶ
      B
      C
      常時発生しない問題の点検
      A
      次の手順へ

手順2
イグニシヨンコイルASSY点検(入力電圧)(要領はXX-XXX 参照)
      NG
      ワイヤハーネスまたはコネクタ修理または交換
      OK
      次の手順へ

手順3
イグニシヨンコイルASSY単体点検(要領はXX-XXX 参照)
      NG
      イグニシヨンコイルASSY交換
      OK
      次の手順へ

手順4
ワイヤハーネスまたはコネクタ点検(イグナイタASSY−イグニションコイルASSY)

SST
09082-00030
09083-00150
  1. イグニションコイルNO.1、NO.2、NO.3コネクタを切り離す。

  2. イグナイタコネクタを切り離す。

  3. SSTを使用して、イグナイタコネクタ−イグニションコイルコネクタ間の導通を点検する。(端子配列はXX-XXX 参照)

  4. 測定箇所イグナイタ⇔イグニションコイル
    基準
    1(C1)−イグニションコイル    NO.1の2端子
    導通あり
    10(C2)−イグニションコイル    NO.2の2端子
    導通あり
    9(C3)−イグニションコイル    NO.3の2端子
    導通あり
  5. SSTを使用して、イグナイタコネクタ−ボデーアース間の短絡を点検する。(端子配列はXX-XXX 参照)

  6. 測定箇所イグナイタ⇔ボデーアース
    基準
    1(C1)−ボデーアース
    導通なし
    10(C2)−ボデーアース
    導通なし
    9(C3)−ボデーアース
    導通なし
      OK
      NG
      ワイヤハーネスまたはコネクタ修理または交換

手順5
ワイヤハーネスまたはコネクタ点検(イグニッションスイッチ−イグナイタASSY)

SST
09082-00030
09083-00150
  1. イグニツシヨンスイツチをONにする。

  2. イグナイタコネクタ2(+B)端子−ボデーアース間の電圧を点検する。


  3. 基準値
    9−14V
  4. イグナイタコネクタ8(GND)端子−ボデーアース間の電圧を点検する。


  5. 基 準
    導通あり
      NG
      ワイヤハーネスまたはコネクタ修理または交換
      OK
      次の手順へ

手順6
ワイヤハーネスまたはコネクタ点検(ECU−イグナイタASSY)

SST
09082-00030
09083-00150
  1. エンジンコントロールコンピユータAコネクタを切り離す。

  2. イグナイタASSYコネクタを切り離す。

  3. SSTを使用して、エンジンコントロールコンピユータコネクタ−イグナイタ間の導通を点検する。(端子配列はXX-XXX 参照)

  4. 測定箇所エンジンECU⇔イグナイタ
    基準
    A11(IGT)−4(IN1)
    導通あり
    A12(IGT2)−5(IN2)
    導通あり
    A13(IGT3)−6(IN3)
    導通あり
    A25(IGF)−7(IGF)
    導通あり
  5. SSTを使用して、エンジンコントロールコンピユータコネクタ−ボデーアース間の短絡を点検する。(端子配列はXX-XXX 参照)

  6. 測定箇所エンジンECU⇔ボデーアース
    基準
    A11(IGT)−ボデーアース
    導通なし
    A12(IGT2)−ボデーアース
    導通なし
    A13(IGT3)−ボデーアース
    導通なし
    A25(IGF)−ボデーアース
    導通なし
      NG
      ワイヤハーネスまたはコネクタ修理または交換
      OK
      次の手順へ

手順7
エンジンコントロ-ルコンピユ-タ点検(エンジンECU−イグニッションコイル)

SST
09991-60101
09991-60300
  1. 出力波形点検

  2. □ 参 考 □
    S2000のオシロスコープ機能を使用することにより、エンジンコントロールコンピユータ−イグナイタ間の機能点検を実施することができます。

    1. エンジンコントロールコンピユータAコネクタ11(IGT)、12(IGT2)、13(IGT3)、25(IGF)端子−17(E1)間にS2000を接続する。(端子配列はXX-XXX 参照)

    2. S2000をオシロスコープ機能にセットする。

    3. 項目
      内容
      測定端子
      CH1:IGT、IGT2、IGT3⇔E1      
      CH2:IGF⇔E1                
      計器セット
      2V/DIV、20ms/DIV
      条件
      暖機後、アイドル回転時
      □ 参 考 □
      • 掲載のオシロスコープ波形は参考例であり、ノイズ、チヤタリング波形などは省略してあります。
      • エンジン回転数が高くなるにつれ、波形周期は短くなる。

      CH1(IGT−IGT3)が異常またはCH1、CH2がすべて正常
      CH1(IGT−IGT3)は正常かつCH2(IGF)が異常
      B
      イグナイタASSY交換
      A
      エンジンコントロ-ルコンピユ-タ交換