シリンダブロツク(1G-FE) オーバーホール(脱着・分解)

    準備品一覧

  1. コネクテイングロツド点検
    1. スラストクリアランス点検
      1. ダイヤルゲージを使用して、スラストクリアランスを測定する。
      2. 基準値
        0.200−0.402mm
        限度
        0.45mm


  2. コネクテイングロツドベアリング点検
    1. オイルクリアランス点検
      1. ナットをはずし、ベアリングキャップを取りはずす。
      2. ベアリング内外面コネクティングロッドおよびクランクピンを清掃し、著しい摩耗および傷つきのないことを確認する。
      3. プレスゲージをクランクピンの軸方向にセットし、ベアリングキャップを取り付ける。
      4. ボルトのねじ部およびナットの座面に少量のエンジンオイルを塗布する。
      5. ナットを2−3回に分けて仮締め後、規定トルクで締め付ける。
      6. 基準値
        T=50N・m{500kgf・cm}

      7. ベアリングキャップをはずし、プレスゲージの最も幅の広い部分を測定する。
      8. 基準値
        0.016−0.047mm(STD)
        0.015−0.061mm(U/S 0.25)
        限度
        0.07mm

      9. 限度以上の場合はベアリングを選択し、交換またはクランクピンを研磨して、U/Sベアリングを使用する。
      10. □ 参 考 □
        選択符号
        コネクティングロッド大端穴径
        [mm]
        ベアリング中央肉厚[mm]
        クランクピン径
        [mm]
        47.000−47.008
        1.488−1.492
        43.985−44.000
        47.008−47.016
        1.492−1.496
        43.985−44.000
        47.016−47.024
        1.496−1.500
        43.985−44.000
        U/S 0.25
        47.000−47.024
        1.609−1.615
        43.745−43.755


  3. コネクテイングロツド取りはずし
    1. コネクティングロッドボルト部にビニールチューブを取り付け、シリンダブロックおよびクランクシャフトに傷をつけないようにコネクティングロッドを取りはずす。
  4. クランクシヤフト点検
    1. スラストクリアランス点検
      1. ダイヤルゲージを使用して、スラストクリアランスを測定する。
      2. 基準値
        0.020−0.221mm
        限度
        0.30mm

      3. 限度以上の場合は、スラストワッシャまたはクランクシャフトを交換する。
      4. □ 参 考 □
        スラストワッシャ肉厚 1.94−1.99mm


  5. クランクシヤフト取りはずし
    1. クランクシャフトベアリングキャップを図の順序で2−3回に分けて均等にゆるめ、ベアリングキャップボルトを取りはずす。
    2. ベアリングキャップとロワーベアリングを取りはずす。
    3. クランクシャフト、アッパーベアリングおよびスラストワッシャを取りはずす。

  6. オイルセパレ-タスクリ-ン取りはずし
  7. ピストンウイズピン取りはずし
    1. ピストンリングツールを使用して、ピストンリングを取りはずす。
    2. SSTおよびプレスを使用して、ピストンピンを取りはずす。
    3. SST
      09221-25026(09221-00021,09221-00030,09221-00181,09221-00090,09221-00200)


  8. シリンダブロック点検
    1. ひずみ点検
      1. 直定規を使用して、シリンダブロック上面のひずみを測定する。
      2. 限度
        0.05mm

    2. 亀裂点検
      1. 染色浸透探傷剤(レッドチェック)により、シリンダブロックに亀裂のないことを確認する。
    3. ボア点検
      1. シリンダーゲージを使用して、図の6箇所の内径を測定し、最大値と最小値の差を求める。
      2. 限度
        0.20mm

      3. 限度以上の場合は、シリンダブロックを交換またはシリンダをボーリングする。

  9. ピストンウイズピン点検
    1. ピストン外径点検
      1. マイクロメーターを使用して、ピストン下端から23mmの位置でピン穴と直角方向の直径を測定する。
      2. 基準値
        74.93−74.94mm


    2. ピストンクリアランス点検
      1. シリンダスラスト方向最小内径とピストン外径の差を算出する。
      2. 基準値
        0.070−0.093mm
        限度
        0.11mm

        □ 参 考 □
        基準値外の場合は、ピストンまたはシリンダブロックを交換するかシリンダをボーリングしてO/Sピストンを使用する。

        O/Sピストン外径基準

        O/Sピストン種類
        シリンダ内径[mm]
        ピストン外径[mm]
        0.50
        75.510−75.523
        75.42−75.44
        □ 参 考 □
        ボーリング仕上げ寸法=(O/Sピストン外径)+(ピストンクリアランス)−(ホーニング代 0.02mm)

      3. シリンダブロックをボーリングした場合は、ボーリング後、シリンダーゲージを使用して内径を測定し、だ円度およびテーパー度を算出する。
      4. 限度
        だ円度、テーパー度 0.02mm

      5. ピストンまたはシリンダブロックを交換した場合は、交換後再度ピストンクリアランスを確認する。
    3. ピストンリングとリング溝すき間点検
      1. シックネスゲージを使用して、ピストンとリング溝のすき間を全周にわたって測定する。
      2. 基準値
        NO.1 0.040−0.080mm
        NO.2 0.030−0.070mm


    4. ピストンピン点検
      1. マイクロメーターを使用して、ピストンピン外径を測定する。
      2. 基準値
        20.007−20.012mm

      3. キャリパーゲージを使用して、ピストンのピン穴径を測定する。
      4. 基準値
        20.020−20.025mm

      5. ピストンピン外径とピストンピン穴径からオイルクリアランスを算出する。
      6. 基準値
        0.011−0.015mm

      7. 基準値外の場合は、ピストンおよびピストンピンを交換する。
      8. □ 参 考 □
        ピストンピン外径、ピストンピン穴内径基準値

        選択符号
        ピストンのピン穴径
        [mm]
        ピストンピン外径
        [mm]
        20.019−20.021
        20.006−20.008
        20.021−20.023
        20.008−20.010
        20.023−20.025
        20.010−20.012

  10. ピストンリングセツト点検
    1. ピストンリング合い口すき間点検
      1. ピストンを使用してピストンリングをシリンダブロック上面から約100mmまで押し込み、合い口すき間を測定する。
      2. 基準値
        リング
        基準値[mm]
        限度[mm]
        NO.1
        0.20−0.30
        0.90
        NO.2
        0.35−0.45
        1.10
        オイル
        0.10−0.40
        1.00


  11. クランクシヤフト点検
    1. 振れ点検
      1. Vブロックおよびダイヤルゲージを使用して、振れを測定する。
      2. 限度
        0.06mm

    2. ジャーナル部点検
      1. マイクロメーターを使用して、クランクシャフトジャーナル部の図の箇所を測定する。
      2. 基準値
        54.982−55.000mm(NO.4ジャーナル以外)
        54.970−54.988mm(NO.4ジャーナル)

      3. ジャーナル部のだ円度およびテーパー度を算出する。
      4. 限度
        0.020mm


    3. ピン部点検
      1. マイクロメーターを使用して、クランクピンの図の箇所を測定する。
      2. 基準値
        43.985−44.000mm

      3. クランクピンのだ円度およびテーパー度を算出する。
      4. 限度
        0.020mm


    4. オイルクリアランス点検
    5. ■ 注 意 ■
      NO.1ジャーナルは他のベアリングとサイズが異なるので組み付け時に十分確認する。

      1. 油溝のあるアッパーベアリングおよびクランクシャフトをシリンダブロックに取り付ける。
      2. ロワーベアリングをベアリングキャップに取り付ける。
      3. プレスゲージをクランクシャフトジャーナルの軸方向にセットする。

      4. フロントマークを前方にしてクランクシャフトベアリングキャップを取り付ける。

      5. ボルトのねじ部および座面に少量のエンジンオイルを塗布する。
      6. 図の順序で2−3回に分けて仮締め後、規定トルクで締め付ける。
      7. 基準値
        T=60N・m{600kgf・cm}

        ■ 注 意 ■
        測定時、クランクシャフトを回転させない。

      8. 図の順序で2−3回に分けて均等にゆるめ、ベアリングキャップボルトを取りはずす。

      9. ベアリングキャップを取りはずし、プレスゲージの最も幅の広い部分を測定する。
      10. 基準値
        0.026−0.044mm(NO.4ジャーナル以外)
        0.038−0.056mm(NO.4ジャーナル)
        限度
        0.08mm

        ■ 注 意 ■
        測定後、プレスゲージを完全に取り除く。

      11. 限度以上の場合は、ベアリングを選択交換またはクランクジャーナルを研磨してU/Sベアリングを使用する。
      12. STDベアリング選択方法

        シリンダブロック符号(A)
        クランクシャフト符号(B)
        選択ベアリング符号(C)
        □ 参 考 □
        表より使用するベアリング選択符号〔C〕=〔A〕の選択符号+〔B〕の選択符号で求める。 例)1+2=3よってベアリング選択符号3を使用する。

        各部符号と寸法 単位[mm]

         
        選択符号
        クランクシャフトベアリング下穴径
        クランクシャフトジャーナル径NO.4以外
        クランクシャフトジャーナル径NO.4
        ベアリング中央肉厚
        54.994−55.000
        54.982−54.988
        59.026−59.032
        54.988−54.994
        54.976−54.982
        2.000−2.003
        59.032−59.038
        54.982−54.988
        54.970−54.976
        2.003−2.006
        59.038−59.044
        2.006−2.009
        2.009−2.012
        2.012−2.015
        U/S0.25
        59.026−59.044
        54.732−54.742
        54.745−54.755
        2.113−2.123

  12. スタッドボルト取りはずし
  13. シリンダブロツクウオ-タドレ-ンコツク取りはずし
  14. オイルレベルゲ-ジガイドユニオン取りはずし
    1. 直径9mmの丸棒を使用して、ガイドユニオンを打ち抜く。

  15. オイルレベルゲ-ジガイドユニオン取り付け
    1. ガイドユニオンのシール面にアドヘシブ1324を塗布し、ブラスバーを使用してシリンダブロックに打ち込む。

  16. シリンダブロツクウオ-タドレ-ンコツク取り付け
    1. アドヘシブ1324を塗布して取り付ける。
    2. 基準値
      T=25N・m{250kgf・cm}

    3. 規定トルクで締め付け後、1回転以内の増し締めでドレーンコックのパイプ位置を下側に30°の範囲にセットする。

  17. スタッドボルト取り付け
  18. ■ 注 意 ■
    図のスタッドボルトは下側がシリンダブロック取り付け側となる。


  19. ストレートピン取り付け

  20. リングピン取り付け

  21. ピストンウイズピン取り付け
    1. ピストンとコネクティングロッドのフロントマークを合わせ、SSTおよびプレスを使用して、ピストンピンを取り付ける。
    2. SST
      09221-25026(09221-00021,09221-00030,09221-00181,09221-00090,09221-00200)


  22. ピストンリングセツト取り付け
    1. ピストンリングツールを使用して、識別マークを上にしてピストンリングを取り付ける。
    2. □ 参 考 □
      種類
      識別マーク
      コンプレッションリングNO.1
      N1
      コンプレッションリングNO.2
      N2

    3. ピストンリングの合い口を図の位置にする。

  23. コネクテイングロツドベアリング取り付け
    1. ベアリングをコネクティンブロッドおよびコネクティングロッドキャップにツメ位置および油穴に合わせて組み付ける。
    2. ■ 注 意 ■
      コネクティングロッド、コネクティングロッドキャップのベアリング取り付け面およびベアリング裏面にエンジンオイルを塗布しない。

  24. オイルセパレ-タスクリ-ン取り付け
  25. 基準値
    T=19N・m{195kgf・cm}

  26. クランクシヤフト取り付け
  27. ■ 注 意 ■
    NO.1ジャーナルは他のベアリングとサイズが異なるので組み付け時に十分確認する。

    1. 油穴を合わせて油溝のあるアッパーベアリングをシリンダブロックに取り付ける。
    2. ■ 注 意 ■
      シリンダブロックのベアリング取り付け面およびベアリング裏面にエンジンオイルを塗布しない。

    3. ロワーベアリングをクランクシャフトベアリングキャップに取り付ける。
    4. ■ 注 意 ■
      クランクシャフトベアリングキャップのベアリング取り付け面およびベアリング裏面にエンジンオイルを塗布しない。

    5. 油溝を外側に向け、スラストワッシャをシリンダブロックのNO.4ジャーナルの前後面に取り付ける。
    6. アッパーベアリング表面にエンジンオイルを塗布し、クランクsyハウトを取り付ける。
    7. 油溝を外側に向け、ツバ付きのスラストワッシャをクランクシャフトベアリングキャップNO.4を前後面に取り付ける。

    8. ベアリングキャップのベアリング表面にエンジンオイルを塗布し、フロントマークを前方にして取り付ける。

    9. ボルトのねじ部および座面に少量のエンジンオイルを塗布し、図の順序で2−3回に分けて仮締めした後、規定トルクにて締め付ける。
    10. 基準値
      T=60N・m{600kgf・cm}

    11. クランクシャフトがスムースに回転することを確認する。
  28. コネクテイングロツド取り付け
    1. コネクティングロッドボルトにビニールチューブを取り付ける。
    2. シリンダ壁面、ピストン外周およびコネクティングロッドベアリング表面にエンジンオイルを塗布する。
    3. ピストンリング合い口位置を確認する。
    4. フロントマークを確認し、ピストンリングコンプレッサーを使用してピストン W/コネクティングロッドを取り付ける。

    5. ビニールチューブをはずし、コネクティングロッドとキャップの組み合わせおよびキャップのフロントマークを確認して、コネクティングロッドにキャップを組み付ける。
    6. ナットのねじ部および座面に少量のエンジンオイルを塗布する。
    7. ナットを2−3回に分けて仮締め後k規定トルクで締め付ける。
    8. 基準値
      T=50N・m{500kgf・cm}