構造と作動

クルーズコントロールシステム

クルーズコントロールスイッチ

  1. 機能
    1. クルーズコントロールスイッチはステアリングホイール右側に取り付けられており,プッシュタイプのメインスイッチおよび4方向レバータイプ(レーダークルーズコントロールシステム装着車)または3方向レバータイプ(クルーズコントロールシステム装着車)の操作スイッチを一体化し,操作性に優れたものとしました。また,レバータイプの操作スイッチは,操作中のみスイッチ ONとし,手を離すとスイッチ OFFとなる自動復帰タイプとしました。なお,操作スイッチの各操作はメインスイッチ ON時のみ有効です。
    2. レーダークルーズコントロールシステム装着車の定速制御モードへの切り替えはクルーズコントロールメインスイッチをONした後,クルーズコントロールシステム制御を行っていない状態からクルーズコントロール操作スイッチを前方に約1秒以上押すことによって行うものとしました。なお,クルーズコントロールシステム制御開始時以外は切り替えができない構造とすることにより,クルーズコントロールシステム制御中の誤作動を防止しました。
    3. クルーズコントロールスイッチ機能一覧
      スイッチ名称
      機 能
      メインスイッチ(プッシュタイプ)
      クルーズコントロールシステムのメインスイッチで,押すごとにON/OFFを繰り返す。
      操作スイッチ(4方向レバータイプ*1
      メインスイッチ ON時に操作することにより,SET/COAST(車速設定/減速制御)・RESUME/ACCEL(制御復帰/加速制御)・CANCEL(制御解除)・MODE(車間制御モード/定速制御モード切り替え)を行います。
      操作スイッチ(3方向レバータイプ*2
      メインスイッチ ON時に操作することにより,SET/COAST(車速設定/減速制御)・RESUME/ACCEL(制御復帰/加速制御)・CANCEL(制御解除)を行います。
      □ 参 考 □
      *1:レーダークルーズコントロールシステム装着車
      *2:クルーズコントロールシステム装着車

キャンセル機能

  1. 機能
    1. 下記のいずれかの操作を行うことにより,クルーズコントロールシステムによる制御走行を解除します。
    2. 解除操作一覧
      解除操作
      キャンセルスイッチの状態
      クルーズコントロール操作スイッチを手前に引く。
      クルーズコントロール操作スイッチ CANCEL
      クルーズコントロールメインスイッチを押す。
      クルーズコントロールメインスイッチ OFF
      ブレーキペダルを踏む。
      ストップランプスイッチ ON
      シフトポジション“D”または“4”から“N”・“3”・“2”・“L”にシフトする。
      ニュートラルスタートスイッチ内“D”または“4”ポジションスイッチOFF

車間距離切り替えスイッチ(レーダークルーズコントロールシステム装着車のみ)

  1. 機能
    1. 車間距離切り替えスイッチは,コンビネーションメーター右側下部に取り付けられており,スイッチを押すごとに車間制御モード時の設定車間距離を「長」・「中」・「短」の3段階に切り替えます。

コンビネーションメーター

  1. 概要
    1. クルーズコントロールシステムの制御状態およびウォーニング項目をコンビネーションメーター内のクルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプを用いて表示します。また,これに加えてレーダークルーズコントロールシステム装着車はレーダークルーズウォーニングインジケーターランプ・レーダークルーズディスプレイを用いて制御状態およびウォーニング項目を表示するものとしました。なお,各作動/ウォーニングインジケーターランプの点灯制御およびレーダークルーズディスプレイの表示制御は,メーターコンピューターがエンジンコントロールコンピューターからの多重通信信号受信後,処理することにより行います。

  2. 機能
    1. クルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプ
      1. コンビネーションメーター内の右側下部に配置されており,クルーズコントロールメインスイッチ ON時に点灯し,クルーズコントロールシステムのセット待機中またはセット中であることを運転者に知らせます。また,クルーズコントロールメインスイッチをOFFすることにより,消灯します。なお,クルーズコントロールシステム異常発生時には点滅することにより,運転者にシステムの異常を警告します。
    2. レーダークルーズウォーニングインジケーターランプ(レーダークルーズコントロールシステム装着車のみ)
      1. コンビネーションメーター内のレーダークルーズディスプレイ左側に配置されており,レーダークルーズコントロールシステム異常発生時に点灯することにより,運転者にシステムの異常を警告します。
    3. レーダークルーズディスプレイ・CRUISE READYインジケーターランプ・定速インジケーターランプ(レーダークルーズコントロールシステム装着車のみ)
      1. レーダークルーズコントロールシステム制御状態表示機能
        1. セット車速・設定車間距離・先行車の有無など,レーダークルーズコントロールシステムの制御状態を表示します。
      2. レーダークルーズコントロールシステムウォーニング表示機能
        1. 悪天候などにより,レーダークルーズコントロールシステムによる制御走行(車間制御モード)が行えない場合や,レーダークルーズコントロールシステムに異常が発生した場合などに,レーダークルーズディスプレイにウォーニング項目の表示を行うとともに,レーダークルーズウォーニングインジケーターランプを点灯します。
          1. レーダークルーズコントロールシステムウォーニング表示の復帰
          2. レーダークルーズディスプレイおよび作動/ウォーニングインジケーターランプは,表示内容に応じて下表の条件が成立した場合にシステム制御状態表示に復帰します。
            レーダークルーズコントロールシステムウォーニング表示の復帰条件
            レーダークルーズディスプレイの表示
            復帰条件
            E1
            • 上記ウォーニング表示一覧の各ウォーニング項目の状態から復帰した場合。
            E2
            E3
            • イグニッションスイッチをOFFし,再度ON(レーダークルーズコントロールシステム ON)したときに異常が検出されない場合。

レーザーレーダーセンサー(レーダークルーズコントロールシステム装着車のみ)

  1. 構造
    1. レーザーレーダーセンサーはレーザー発信器・受光部・発光部・マイクロコンピューターなどから構成されています。レーザー発信器から出力されたレーザー光を前方に照射し,先行車のリフレクターなどに反射したレーザー光が受光部に戻ってくるまでの時間および入射角度をマイクロコンピューターが演算することで,自車走行車線上の先行車の有無・先行車との距離・相対速度などを演算し,そのデーターをディスタンスコントロールコンピューターに出力しています。
      1. 検知範囲
        1. レーザーレーダーセンサーの検知範囲は下記のようにしました。

ディスタンスコントロールコンピューター(レーダークルーズコントロールシステム装着車のみ)

  1. 作動
    1. ディスタンスコントロールコンピューターは,おもに追従走行に関する制御を行っており,レーザーレーダーセンサーからの車間距離・相対速度データーなどから目標加速度およびシフトダウンなどの要求信号をエンジンコントロールコンピューターに出力します。また,接近警報ブザーの要求信号をエンジンコントロールコンピューターを介してスキッドコントロールコンピューターに出力します。
      1. レーダークルーズコントロールシステムの基本制御(車間制御モード)
        1. レーダークルーズコントロールシステムの制御は以下のように制御を行います。
        2. レーダークルーズコントロールシステム制御の流れ
          No.
          制御状態
          基本制御作動
          1
          定速制御
          • 先行車なし
          • セット車速(例:車速100km/h)で定速走行
          2
          減速制御
          • 先行車(例:車速80km/h)を検知
          • セット車速(100km/h)から先行車車速(80km/h)まで減速*1
          3
          追従制御
          • 先行車(車速80km/h)検知中
          • 先行車車速(80km/h)に合わせて,車速に比例した車間距離*2を保って追従走行
          4
          加速制御
          • 先行車が車線変更したことを検知または自車が車線変更したことを検知
          • セット車速(100km/h)までゆっくり加速し,定速走行
          □ 参 考 □
          *1:より大きな減速が必要な場合はシフトダウン制御を行います。また,十分な減速ができない状態で先行車に接近した場合には,接近警報ブザーを吹鳴して運転者の操作(ブレーキなど)が必要なことを警告します。
          *2:車速80km/hで追従走行している場合の制御車間距離の目安は,「長」設定時は約50m,「中」設定時は約40m,「短」設定時は約30mです。

エンジンコントロールコンピューター

  1. 作動
    1. 各スイッチ・センサー・コンピューターなどからの信号により,クルーズコントロールシステムおよびレーダークルーズコントロールシステムの各機能を制御します。なお,クルーズコントロールシステムおよびレーダークルーズコントロールシステム制御時のスロットルバルブ駆動は電子スロットルシステムによって行うものとしました。
      1. クルーズコントロールシステム制御
        1. エンジンコントロールコンピューターは以下のように制御を行います。
        2. クルーズコントロールシステム制御(レーダークルーズコントロールシステム装着車の車間制御モード)
          制御名
          制御内容
          セット制御
          • メインスイッチがONの状態で,約45〜100km/hで走行中にSET/COASTスイッチをONすると,スイッチ OFF時の車速をセット車速として記憶し,制御を開始します。
          低速リミット・セット下限車速
          • 低速リミットを約40km/hに設定しています。クルーズコントロールシステム制御走行中に低速リミット未満となった場合には,セット車速を記憶したまま自動的に制御を解除します。
          • セット下限車速を約45km/hに設定しています。セット下限車速未満で走行中にはセット操作はできません。また,SET/COASTスイッチをON時にセット下限車速未満となった場合は,セット車速を記憶したまま自動的に制御を解除します。
          高速リミット
          • 高速リミットを約100km/hに設定しています。高速リミット以上で走行中にセット操作を行うと,高速リミット(約100km/h)に設定されます。また,RESUME/ACCELスイッチによるセット車速の増速時も高速リミット以上にはセットできません。
          定速制御
          • 現在の走行車速とセット車速とを比較して,セット車速に近づくようにスロットルバルブ開度を調整します。
          追従制御
          • 現在の走行車速とディスタンスコントロールコンピューターからの追従走行目標加速度データーとを比較して先行車の車速変化に合わせて適切な車間距離を保てるようにスロットルバルブ開度を調整します。ただし,停止している車両または極端に遅い先行車については追従制御を行いません。
          車間制御モード/定速制御モード切り替え
          • クルーズコントロールメインスイッチをONした後,制御が行われていない状態からMODEスイッチを約1秒以上ONすると定速制御モードに移行します。(クルーズコントロールシステム始動時は車間制御モードで始動します。)
          加速制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にRESUME/ACCELスイッチをONし続けた場合,スロットルコントロールモーターをスロットルバルブの開く方向へ駆動することにより車速を増速し,セット車速を増速更新します。ただし,追従制御中にRESUME/ACCELスイッチをONし続けた場合,先行車がいる場合は追従制御が優先されるため車速の増速を行わず追従制御を継続します。なお,セット車速の増速更新は行われます。
          • RESUME/ACCELスイッチ操作中に車速が高速リミット(約100km/h)以上となった場合,高速リミットをセット車速として記憶して,制御を行います。また,セット車速が増速更新されて高速リミットになった場合も同様です。
          • 追従制御中に先行車の車線変更・自車の車線変更などで先行車がいなくなった場合,自動的にセット車速までゆっくりと加速します。このとき,RESUME/ACCELスイッチをONすると,速やかに加速します。
          減速制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にSET/COASTスイッチをONし続けた場合,クルーズコントロール要求開度を0にして車速を減速させ,スイッチ操作を開始したときの車速からセット車速を減速更新します。更新後のセット車速が先行車の車速より遅い場合はそのまま定速制御に移行します。また,更新後のセット車速が先行車の車速より速い場合は追従制御を継続します。なお,スイッチ操作信号は車速約45km/h以上時のみ有効と判断します。
          • SET/COASTスイッチ操作中に下り坂などで車速が高速リミット以上となった場合にスイッチをOFFすると,高速リミットをセット車速として記憶し,定速制御に移行します。
          • 追従制御中にディスタンスコントロールコンピューターからの減速要求信号が入力されると,スロットルコントロールモーターをスロットルバルブ全閉方向に駆動することにより,追従走行目標車速まで減速し,より大きな減速が必要な場合は,ECTソレノイドを駆動してシフトダウンを行います。
          オートキャンセル制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去して制御を解除します。この場合,レーダークルーズディスプレイにウォーニング表示を行うとともに警報ブザーの吹鳴・レーダークルーズウォーニングインジケーターランプの点灯・クルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅を行い,再度,メインスイッチをONするまでは制御禁止にします。
          1.車速信号異常時。
          2.ストップランプスイッチの断線またはショート時。
          3.電子制御スロットルシステム構成部品異常時。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去して制御を解除します。この場合,レーダークルーズディスプレイにウォーニング表示を行うとともに警報ブザーの吹鳴・レーダークルーズウォーニングインジケーターランプの点灯・クルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅を行い,イグニッションスイッチをOFFするまで制御禁止にします。
          4.レーザーレーダーセンサー異常時。
          5.レーザーレーダーセンサーに光軸ずれが発生したとき。
          6.レーダークルーズコントロールシステム異常時。
          7.ストップランプスイッチ入力回路異常。
          8.キャンセル回路異常。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,制御を解除します。この場合,レーダークルーズディスプレイにウォーニング表示を行うとともに警報ブザーの吹鳴・レーダークルーズウォーニングインジケーターランプの点灯・クルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅を行い,下記の状態から復帰するまで制御禁止にします。なお,下記の状態から復帰後にRESUME/ACCELスイッチを操作することにより,復帰制御を行います。
          9.レーザーレーダーセンサーに汚れが付着したとき。
          10.ワイパーがHIまたはLO(オートワイパーも含む)作動したとき。
          11.ECT SNOWモードを選択したとき。
          12.レーザーレーダーセンサーに強い光を受けたとき。
          13.悪天候のため,測定が極端に不安定なとき。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を記憶したまま制御を解除します。
          14.走行車速が約40km/h以下となったとき。
          15.SET/COASTスイッチ ON中に走行車速が約45km/h以下となったとき。
          マニュアルキャンセル制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の信号が入力されたとき,セット車速を記憶したまま制御を解除します。
          1.ストップランプスイッチ ON
          2.ニュートラルスタートスイッチ内“D”または“4”ポジションスイッチ OFF
          3.クルーズコントロール操作スイッチ CANCEL ON
          4.ABS ON
          5.VSC ON
          6.クルーズコントロールメインスイッチ OFF(セット車速消去)
          復帰制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に,前記マニュアルキャンセル制御(1〜5)または前記オートキャンセル制御(9〜15)によって制御解除操作を行った場合,走行車速が約40〜100km/hであれば,RESUME/ACCELスイッチをONすることにより,制御解除操作を行った時点でのセット車速で復帰制御を行います。
          オーバードライブ制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に,登坂路等ではオーバードライブがカットされることがあります。オーバードライブカット後,走行車速がオーバードライブ復帰車速(セット車速−2km/h)以上となり,かつ登坂終了と判断された場合,オーバードライブ復帰タイマー後にオーバードライブ状態に自動的に復帰します。
          • 追従制御中により大きな減速が必要な場合にはオーバードライブをカットし,さらに3速までシフトダウンします。(シフトダウン制御)
          クルーズコントロールシステム制御(レーダークルーズコントロールシステム装着車の定速制御モード)
          制御名
          制御内容
          セット制御
          • メインスイッチがONの状態で,約45〜100km/hで走行中にSET/COASTスイッチをONすると,スイッチ OFF時の車速をセット車速として記憶し,制御を開始します。
          低速リミット・セット下限車速
          • 低速リミットを約40km/hに設定しています。クルーズコントロールシステム制御走行中に低速リミット未満となった場合にはセット車速を消去して自動的に制御を解除します。
          • セット下限車速を約45km/hに設定しています。セット下限車速未満で走行中にはセット車速の記憶を行いません。また,SET/COASTスイッチをON時にセット下限車速未満となった場合はセット車速を消去して自動的に制御を解除します。
          高速リミット
          • 高速リミットを約100km/hに設定しています。高速リミット以上で走行中はセット車速の記憶は行いません。また,RESUME/ACCELスイッチによるセット車速の増速時も高速リミット以上にはセットできません。
          定速制御
          • 現在の走行車速とセット車速とを比較して,セット車速に近づくようにスロットルバルブ開度を調整します。
          加速制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にRESUME/ACCELスイッチをONし続けた場合,スロットルコントロールモーターをスロットルバルブの開く方向へ駆動することにより車速を増速し,セット車速の増速更新を行い,定速制御に移行します。
          • RESUME/ACCELスイッチ操作中に車速が高速リミット(約100km/h)以上となった場合,高速リミット(約100km/h)をセット車速として記憶して,定速制御に移行します。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にRESUME/ACCELスイッチを瞬間的(約0.5秒以下)にONすると,スイッチ操作1回ごとにセット車速を約1.5km/h増速させます。(タップアップ機能)ただし,セット車速と現在の車速の差が5km/h以上の場合はタップアップ機能によるセット車速の変更は行いません。
          減速制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にSET/COASTスイッチをONし続けた場合,クルーズコントロール要求開度を0にして車速を減速させ,セット車速を減速更新し,定速制御に移行します。なお,スイッチ操作信号は車速約45km/h以上時のみ有効と判断します。
          • SET/COASTスイッチ操作中に下り坂などで車速が高速リミット以上となった場合にスイッチをOFFすると,高速リミットをセット車速として記憶し,定速制御に移行します。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にSET/COASTスイッチを瞬間的(約0.5秒以下)にONするとスイッチ操作1回ごとにセット車速を約1.5km/h減速させます。(タップダウン機能)ただし,セット車速と現在の車速の差が5km/h以上の場合は,スイッチをOFFした時点での車速をセット車速として記憶し,定速制御に移行します。
          オートキャンセル制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去して制御を解除します。この場合,レーダークルーズディスプレイにウォーニング表示を行うとともに警報ブザーの吹鳴・レーダークルーズウォーニングインジケーターランプの点灯・クルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅を行い,再度,メインスイッチをONするまでは制御禁止にします。
          1.車速信号異常時。
          2.ストップランプスイッチの断線またはショート時。
          3.電子制御スロットルシステム構成部品異常時。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去し,制御を解除します。この場合,レーダークルーズディスプレイにウォーニング表示を行うとともに警報ブザーの吹鳴・レーダークルーズウォーニングインジケーターランプの点灯・クルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅を行い,イグニッションスイッチをOFFするまで制御禁止にします。
          1.ストップランプスイッチ入力回路異常時。
          2.キャンセル回路異常時。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去して制御を解除します。(再セット可能)
          1.走行車速が約40km/h以下となったとき。
          2.走行車速がセット車速−16km/hとなったとき。
          マニュアルキャンセル制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の信号が入力されたとき,セット車速を記憶したまま制御を解除します。なお,車速が約40km/h以下になると,セット車速は消去されます。
          1.ストップランプスイッチ ON
          2.ニュートラルスタートスイッチ内“D”または“4”ポジションスイッチ OFF
          3.クルーズコントロール操作スイッチ CANCEL ON
          4.クルーズコントロールメインスイッチ OFF(セット車速消去)
          5.VSC ON
          復帰制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に,マニュアルキャンセル操作(メインスイッチ OFF時を除く)によって制御解除操作を行った場合,走行車速が約40〜100km/hであれば,RESUME/ACCELスイッチをONすることにより,制御解除操作を行った時点でのセット車速で復帰制御を行います。
          オーバードライブ制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に,登坂路等ではオーバードライブがカットされることがあります。オーバードライブカット後,走行車速がオーバードライブ復帰車速(セット車速−2km/h)以上となり,かつ登坂終了と判断された場合,オーバードライブ復帰タイマー後にオーバードライブ状態に自動的に復帰します。
          クルーズコントロールシステム制御(クルーズコントロールシステム装着車)
          制御名
          制御内容
          セット制御
          • メインスイッチがONの状態で,約40〜100km/hで走行中にSET/COASTスイッチをONすると,スイッチ OFF時の車速をセット車速として記憶し,制御を開始します。
          低速リミット
          • 低速リミットを約40km/hに設定しています。クルーズコントロールシステム制御走行中に低速リミット未満となった場合にはセット車速を消去して自動的に制御を解除します。また,低速リミット未満ではセットできません。
          高速リミット
          • 高速リミットを約100km/hに設定しています。高速リミット以上で走行中はセット車速の記憶を行いません。また,RESUME/ACCELスイッチによるセット車速の増速時も高速リミット以上にはセットできません。
          定速制御
          • 現在の走行車速とセット車速とを比較して,セット車速に近づくようにスロットルバルブ開度を調整します。
          加速制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にRESUME/ACCELスイッチをONし続けた場合,スロットルコントロールモーターをスロットルバルブの開く方向へ駆動することにより車速を増速し,スイッチ OFFの時点での車速をセット車速として記憶し,定速制御に移行します。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にRESUME/ACCELスイッチを瞬間的(約0.5秒以下)にONすると,スイッチ操作1回ごとにセット車速を約1.5km/h増速させます。(タップアップ機能)ただし,セット車速と現在の車速の差が5km/h以上の場合はタップアップ機能によるセット車速の変更は行いません。
          減速制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にSET/COASTスイッチをONし続けた場合,クルーズコントロール要求開度を0にして車速を減速させ,セット車速を減速更新し,定速制御に移行します。なお,スイッチ操作信号は車速約40km/h以上時のみ有効と判断します。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中にSET/COASTスイッチを瞬間的(約0.5秒以下)にONするとスイッチ操作1回ごとにセット車速を約1.5km/h減速させます。(タップダウン機能)ただし,セット車速と現在の車速の差が5km/h以上の場合は,スイッチをOFFした時点での車速をセット車速として記憶し,定速制御に移行します。
          オートキャンセル制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去して制御を解除します。この場合,クルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅を行い,再度,メインスイッチをONするまでは制御禁止にします。
          1.車速信号異常時(未入力・パルス抜け)。
          2.ストップランプスイッチの断線またはショート時。
          3.電子制御スロットルシステム構成部品異常時。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去して制御を解除します。この場合,次にメインスイッチをONするまでクルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプは点滅し,イグニッションスイッチ OFFとするまで制御禁止にします。
          1.ストップランプスイッチ入力回路異常。
          2.キャンセル回路異常時。
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の状態になったとき,セット車速を消去して制御を解除します。
          1.走行車速が約40km/h以下となったとき。
          2.走行車速がセット車速−16km/hとなったとき。
          マニュアルキャンセル制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に下記の信号が入力されたとき,セット車速を記憶したまま制御を解除します。なお,車速が40km/h以下になるとセット車速は消去されます。
          1.ストップランプスイッチ ON
          2.ニュートラルスタートスイッチ内“D”または“4”ポジションスイッチ OFF
          3.クルーズコントロール操作スイッチ CANCEL ON
          4.クルーズコントロールメインスイッチ OFF(セット車速消去)
          復帰制御
          • クルーズコントロールシステム制御走行中に,マニュアルキャンセル操作(メインスイッチ OFF時を除く)によって制御解除操作を行った場合,走行車速が約40〜100km/hであれば,RESUME/ACCELスイッチをONすることにより,制御解除操作を行った時点でのセット車速で復帰制御を行います。
          オーバードライブ制御
          • 登坂路などを定速走行中に,オーバードライブがカットされることがあります。オーバードライブカット中に,セット車速−2km/hかつ登坂終了と判断するとオーバードライブ復帰タイマー後にオーバードライブ状態に自動的に復帰します。ただし,オーバードライブ復帰タイマー終了以前に走行車速がオーバードライブ復帰車速以下に下がった場合,オーバードライブ復帰タイマーはリセットされ再びオーバードライブ復帰車速になった時点からオーバードライブ復帰タイマーが再作動します。

  2. 機能
    1. ダイアグノーシス機能
      1. システム異常時のウォーニング表示
        1. エンジンコントロールコンピューターがシステムを構成する各スイッチ・センサー・コンピューターの入出力信号に異常を検出した場合,コンビネーションメーター内のクルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプを点滅表示させます。また,レーダークルーズコントロールシステム装着車はクルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅表示に加えて,レーダークルーズウォーニングインジケーターランプの点灯表示,ブザーの吹鳴およびレーダークルーズディスプレイにウォーニング項目を表示することにより,運転者にシステムの異常を知らせます。なお,ランプの点滅およびディスプレイの表示はクルーズコントールメインスイッチ OFFで消灯します。
      2. システム異常箇所の診断結果表示
        1. システム異常時のウォーニング表示を行った場合などに,ダイアグノーシスを起動することでエンジンコントロールコンピューターに記憶されたシステム異常箇所の表示を行えるものとしました。なお,システム異常箇所の表示はクルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅(クルーズコントロールシステム装着車)またはS2000(サービスツール)のチェックモードを用いて行います。
          1. ダイアグノーシス起動
          2. イグニッションスイッチ ONの状態で運転席側インストルメントアンダーNo.1カバーに取り付けられたDLC3のTc-E端子間を短絡することにより,ダイアグノーシスが起動します。
          3. ダイアグノーシス表示
          4. ダイアグノーシス機能を起動させることにより,コンビネーションメーター内のクルーズ作動/ウォーニングインジケーターランプの点滅(クルーズコントロールシステム装着車)またはレーダークルーズディスプレイによる表示(レーダークルーズコントロールシステム装着車)により異常箇所の表示を行います。システムが正常時には正常であることが表示されます。なお,異常箇所が2箇所以上ある場合にはコード番号の小さいものから順次表示します。
            ダイアグノーシスコード診断結果表示一覧
            コードNo.
            SAEコード
            診断結果
            21
            P0500
            • 車速信号断線
            23
            • 車速信号瞬断・ノイズ
            52
            P1520
            • ストップランプスイッチの断線・ショート
            54
            P1566
            • ストップランプスイッチ入力回路異常
            • キャンセル回路異常
            61
            P1615
            • ディスタンスコントロールコンピューターからエンジンコントロールコンピューターへの通信異常
            62
            P1616
            • エンジンコントロールコンピューターからディスタンスコントロールコンピューターへの通信異常
            63
            P1617
            • ディスタンスコントロールコンピューター異常
            64
            P1630
            • スキッドコントロールコンピューターからエンジンコントロールコンピューターへの通信異常
            65
            P1631
            • エンジンコントロールコンピューターからスキッドコントロールコンピューターへの通信異常
            66
            P1575
            • 警報ブザー異常
            67
            P1576
            • ステアリングアングルセンサー異常
            68
            P1577
            • ヨーレートセンサー異常
            71
            P1618
            • レーザーレーダーセンサーからディスタンスコントロールコンピューターへの通信異常
            72
            P1619
            • ディスタンスコントロールコンピューターからレーザーレーダーセンサーへの通信異常
            73
            P1570
            • レーザーレーダーセンサー異常
            75
            P1572
            • レーダーレーザーセンサー光軸ずれ
            □ 参 考 □
            * : レーダークルーズコントロールシステム装着車のみ

取り扱い上の注意

  1. レーダークルーズコントロールシステム制御(車間制御モード)を使用する際の注意事項
    1. 先行車との車間距離が確保しやすい高速道路や自動車専用道路で使用してください。
    2. 近距離ではレーザーレーダーセンサーの検知範囲が狭いため,間近で割り込んでくる先行車の検知が遅れたり,自車線の端を走行する二輪車を検知できず,車間距離が適切に保てない場合があります。
    3. 道路形状(コーナー・左右コーナーの連続している道路・コーナーの出入り口・工事中や車線規制などで車線幅が狭い道路など)や自車の状況(ハンドル操作や車線内の位置・事故や故障などで走行が不安定な状況など)によっては一時的に隣の車線の車両や周辺のものを検知して,制御・接近警報が作動したり,一時的に先行車が検出できず,先行車に接近する場合があります。
    4. 停車中の車や自車よりも極端に遅い車両に対しては,レーダークルーズコントロールシステムの制御も接近警報も行いません。料金所や渋滞の最後尾で停車中や極端に車速の遅い車両などには十分に注意してください。
    5. わき見運転や前方不注意を補助するものではありません。
    6. 下記のような状況のときはレーダークルーズコントロールシステムを使用しないでください。使用すると思わぬ事故につながるおそれがあります。また,システムが悪天候と判断したとき,レーダークルーズコントロールシステム制御が自動的に解除されるおそれがあります。
      1. 悪天候時(雨・霧・雪・砂嵐のときなど)
        1. 先行車との車間距離が正確に測定できない場合があります。なお,ワイパーをLOまたはHIで作動させるとレーダークルーズコントロールシステムは自動的に解除され,セット待機状態になります。(間欠作動では解除されません。)
      2. 前方から強い光(太陽光など)を受けたとき
        1. 先行車との車間距離が正確に測定できない場合があります。
      3. レーザーレーダーセンサーに雨滴,雪などが多量に付着しているとき
        1. 先行車との車間距離が正確に測定できない場合があります。
      4. 交通量の多い道や急カーブのある道
        1. 道路の状況にあった速度で走行できないため,思わぬ事故につながるおそれがあります。
      5. 凍結路や積雪路などの滑りやすい路面
        1. タイヤが空転し,車のコントロールを失うおそれがあります。
      6. 急な下り坂
        1. 先行車がいないときは,セットした速度を越えてしまい思わぬ事故につながるおそれがあります。また,先行車がいて追従制御が行われているときでも,減速するタイミングが遅れ思わぬ事故につながるおそれがあります。
      7. 頻繁に加速・減速を繰り返すような交通状況のとき
        1. 交通状況にあった速度で走行できないため,思わぬ事故につながるおそれがあります。
      8. 急な上り坂・下り坂が繰り返される道路
        1. 先行車を検知できず,先行車に接近しすぎて思わぬ事故につながることがあります。
      9. 高速道路などでインターチェンジ・パーキングエリア・サービスエリアなどへ進入する(本線からはずれる)とき
        1. 本線上でレーダークルーズコントロールシステムによりセット車速よりも遅い車に追従走行していたときは自車が本線から出ることにより先行車がいなくなり,セット車速まで加速するため,思わぬ事故につながるおそれがあります。
    7. このシステムは先行車のリフレクター(反射器)を主に検知して制御を行っていますので,次の場合は先行車を正確に検知できず,車間距離が適切に保てなくなる場合があります。
      1. 先行車がトレーラーなどの地上高(リフレクター高さ)の高い車のとき
      2. 先行車の後部の汚れが著しいとき
      3. 先行車や他車線の車両が路上の水や雪などをまき上げて走行しているとき
      4. 先行車や他車線の車両からの排煙(黒煙)がひどいときや道路付近に煙が発生して前方が十分に見渡せないとき
      5. 先行車がリフレクター部にフィルムを貼った車やリフレクターがついていなかったり,リフレクターが破損している車のとき
      6. トランクルームや後席に極端に重い荷物を積んで自車が大きく傾いているとき
    8. レーザーレーダーセンサーはセンサーの窓部の汚れを自動で判定し,運転者に知らせる機能を備えていますが万能ではありません。状況によってはセンサーの窓部が汚れていても検知できない場合があります。また,透明や半透明(有色も含む)のビニール袋が密着した場合や,氷・つららなどが付着した場合も検知できない場合があります。
      1. このような状況では,車間距離が適切に保てなくなる恐れがありますので,常に前方に注意して走行してください。なお,汚れを検知した場合,レーダークルーズコントロールシステムは自動的に解除されます。
    9. レーダークルーズコントロールシステムの正しい作動のため,以下のことを守ってください
      1. レーザーレーダーセンサーの窓部は常にきれいにしておいてください。
        1. 清掃時には柔らかい布などを使用して窓に傷を付けないようにしてください。
      2. レーザーレーダーセンサーや,その周辺部に強い衝撃や力を加えないでください。また,分解などもしないでください。
        1. 故障・誤作動の原因になります。
      3. レーザーレーダーセンサー部周辺にステッカーやアクセサリー用品などを取り付けないでください。
        1. 特にセンサー部はステッカーが透明であっても貼り付けないでください。システム誤作動の原因になります。
      4. レーザーレーダーセンサー前面に,高圧洗車機などで強い水圧を与えないでください。
        1. 水分がセンサー内に侵入し,レーザーレーダーセンサー故障の原因になります。
    10. レーダークルーズコントロールシステムを使用しないときはメインスイッチをOFFにしておいてください。誤ってレーダークルーズコントロールシステムを作動させてしまい,思わぬ事故につながるおそれがあります。
    11. 追従走行しているときは,先行車に会わせた車速に制御されるため,RESUME/ACCELスイッチの操作でセット車速を上げても加速しません。ただし,このときにセット車速は上がっているため,先行車がいなくなった後,加速を続けることにもなります。セット車速はレーダークルーズディスプレイ内のセット車速表示で確認してください。
    12. 交通状況に応じた車間距離を選択してください。
      1. 車速約80km/hで走行している場合の設定車間距離の目安は「長」・・約50m,「中」・・約40m,「短」・・約30mです。なお,車速が低くなるほど,上記の車間距離よりも短くなります。また,長い下り坂などでは,セットした車間距離よりも制御車間距離が短くなることがあります。
      2. 接近警報ブザーが頻繁に吹鳴するような状況では,レーダークルーズコントロールシステムを使用しないでください。
    13. 車間距離が短い場合でも以下のような場合は接近警報ブザーが吹鳴しない場合があります。
      1. 先行車との相対速度が小さいとき(ほぼ同じ速度で走行しているとき)
      2. 先行車の方が自車よりも速いとき(車間距離が次第に離れていくとき)
      3. アクセルペダルを踏んでいるとき,およびアクセルペダルを離した直後
      4. セット操作をした直後
    14. 通常,レーダークルーズコントロールシステム制御(車間制御モード)による追従走行中は先行車の車速に合わせて,自動的に加速・減速を行いますが,車線変更などで加速が必要なとき,または先行車が急減速,他車が割り込むなどして先行車に接近しそうになったときなどは,アクセルペダルまたはブレーキペダルを踏んで,加速・減速を行ってください。

  2. レーダークルーズコントロールシステム制御(定速制御モード)またはクルーズコントロールシステム制御を使用する際の注意事項
    1. レーダークルーズコントロールシステム制御(定速制御モード)を選択時には,車間制御モード選択時のように,先行車の有無・先行車との車間距離を判定していないため,接近警報ブザーが吹鳴しません。先行車との車間距離に十分に注意してください。
      1. 必要な場合は解除操作を行った後,エンジンブレーキまたはフットブレーキによる減速を行ってください。
    2. 次のような状態ではクルーズコントロールシステムを使用しないでください。思わぬ事故につながるおそれがあります。
      1. 交通量の多い道や急カーブのある道
        1. 道路の状況にあった速度で走行できないため事故につながるおそれがあります。
      2. 凍結路や積雪路などの滑りやすい路面
        1. タイヤが空転し,車のコントロールを失うおそれがあります。
      3. 急な下り坂
        1. 急な下り坂ではエンジンブレーキが十分効かないため,セットした速度を越えてしまい,思わぬ事故につながるおそれがあります。