構造と作動
ウインドゥガラス
ウインドシールドガラスは,トップシェード付き熱線吸収グリーン合わせガラスを全車に採用しました。
フロントドアガラスは,雨天走行時などにおける視認性を確保する撥水機能付きのグリーン強化UVカットガラス
*
を全車に採用しました。
□ 参 考 □
* : 赤外線をカットする機能を持つ熱線吸収ガラスに,紫外線をカットする成分を添加したもの。
リヤドアガラス・バックウインドゥガラスは,UVカット機能を備えたプライバシーガラス
*
(濃色グリーン)を全車にそれぞれ採用しました。
□ 参 考 □
* : 外から室内を見えにくくしてプライバシーを保護するとともに,熱作用の大きい赤外線(近赤外線)を遮断し,同時に紫外線もカットするガラス。
撥水機能付きフロントドアガラス
構造と効果
ガラス表面に撥水膜をコーティングした構造としました。これにより,雨天走行時に雨滴の付着を少なくして,ドアミラーおよび側方の視認性の確保をはかりました。また,結露・結氷および泥水の付着などの低減や,これらの除去を容易にする効果もあります。
取り扱い上の注意
撥水効果の持続期間には限りがあります。撥水性能を長持ちさせるため,ドアガラスが汚れている場合はなるべく早めに柔らかい湿った布で清掃してください。
ドアガラスを清掃する場合は,コンパウンド入りの洗剤・ワックスを使用しないでください。(ガラスクリーナー使用の際,白曇りする場合は湿った布にて拭き取れます。)また,泥などの汚れがひどい場合に自動洗車を行ったりドアガラスの昇降を繰り返さないでください。撥水効果が失われる恐れやガラスを傷つける原因となります。
ガラスが結氷している場合は,金属の板などで削り落とさないようにしてください。撥水効果が失われる恐れやガラスを傷つける原因となります。
アウターリヤビューミラー
全車に標準設定のレインクリアリングブルードアミラーは,ミラー鏡面にセルフクリーニング効果などの機能を持つレインクリアリングミラーの層と,昼間時低反射し,夜間時高反射するブルーミラーの層の構造とし,安定した後方視界の確保をはかりました。
ミラーヒーター機能付き電動格納リモコン式ドアミラーを全車に標準設定しました。なお,電動格納リモコン式ドアミラーおよびミラーヒーターの構造と作動については,電動格納ドアミラーシステムの項を参照してください。(参照先 電動格納ドアミラーシステム−構造と作動
)
レインクリアリングブルーミラー
構造と効果
レインクリアリングブルーミラーの鏡面にはシリカ層およびチタニア層が2層にコーティングされています。
シリカには,シリカ層表面に付着した水滴を薄い膜状にする親水効果があります。また,シリカ層表面を凹凸にすることにより,親水効果を高めています。
チタニアには太陽光(紫外線)と反応する光触媒作用により,シリカ層表面に付着した汚れを化学的に分解して除去するセルフクリーニング効果があります。
ガラスには着色ガラスを採用し,着色ガラスによる吸収効果と,シリカ層・チタニア層による干渉効果により,反射色をブルーとする構造としました。これにより,反射光の眩しさを抑える防眩効果と,紫外線/赤外線をカットする効果を高めています。
機能
親水効果
大気中の物質表面は,水分と結合しやすい親水性表面と結合しにくい(水分をはじきやすい)疎水性表面に大別されます。一般的なミラー表面は疎水性物質(汚れなど)で覆われており,水が付着すると表面張力の力により半球状の水滴となります。
レインクリアリングブルーミラーは,表面に水分と結合しやすい親水性のシリカ層を有し,さらにシリカの最表面を凹凸構造にすることで多くの水分を保持しています。これにより,水が付着した場合,水を薄い膜状にすることで視認性を確保しています。なお,シリカ層の最表面に直接汚れが付着した場合は,親水効果が低下することがありますが,太陽光(紫外線)が照射されるとセルフクリーニング効果により親水効果を回復できます。
セルフクリーニング効果(光触媒作用)
太陽光(紫外線)が照射されると,チタニア層内部に電子(e
-
)が生成され電子がシリカ層を通して周辺に存在する酸素(O
2
)と吸着・励起し,活性酸素(O
2
-
)に変化させるとされています。(図A)この活性酸素がシリカ層表面に付着した汚れ(有機物)と化学反応することにより,汚れが炭酸ガス(CO
2
)および水(H
2
O)に分解され除去されます。(図B)
可変反射効果
反射色をブルーとし,周囲が明るい“昼間”時において特に眩しさを感じる黄色や赤色系の光(波長域:長)の反射率を低くすることにより太陽光やヘッドランプの眩しさを抑えます。
周囲が暗い“夜間”時においては,反射色が着色されていないミラーと同等の反射率を確保し,視認性を確保しています。その他,赤外線および紫外線をカットする効果も高めています。
取り扱い上の注意
鏡面を清掃する場合は水洗いだけで十分です。鏡面を油膜取り剤(コンパウンドなど)や砂の付いた布などで擦ったり,ワックス・撥水剤などを塗布すると,鏡面にコーティングされたシリカ層/チタニア層を傷つけたり侵すなどして親水効果が失われる恐れがあります。
鏡面が凍結している場合は,プラスチックの板などで削り落とさず,流水や温水で解氷してください。
一時的な親水効果の低下について
下記の状況下においては,一時的に親水効果が低下しますが異常ではありません。なお,親水効果は数日間の日射で回復しますが,効果を早く回復させたい場合は,修理書に記載の方法に従って洗浄作業を行ってください。
一時的な親水効果低下が発生する状況
素手で鏡面に触れたり,油の付いた布などで鏡面の汚れを拭き取ったとき。
長期間,地下駐車場など日の当たらない場所に駐車したとき。
車両ワックス除去によるワックスリムーバーが付着したとき。
自動洗車機でワックスが付着したとき。
ワイドビュードアミラー
構造
左右両ミラーに採用したワイドビューミラーは,鏡面の外側部分の曲率を変化(非球面化)させることにより,視認範囲を拡大したものです。
インナーリヤビューミラー
手動防眩式インナーリヤビューミラーを全車に採用しました。