構造と作動

燃料噴射制御(EFI・D-4)

作 動

  1. 成層燃焼
    1. 圧縮行程後半に噴射することにより,スパークプラグ近傍の濃い混合気と周りの空気層を作ることにより,超希薄燃焼を可能とします。

  2. 弱成層燃焼
    1. 吸気行程前半と圧縮行程後半の2回に分けて噴射することにより,スパークプラグ近傍の濃い混合気と周りの薄い混合気を作ることにより,成層燃焼と均質燃焼の切り替わりをスムーズにします。

  3. 均質燃焼
    1. 吸気行程前半に噴射することにより均質な混合気を作るとともに,噴射燃料の気化熱を利用し圧縮された空気を冷却することにより,充填効率を上げて高出力化をはかります。
      1. 理論空燃比制御
        1. 一般的なガソリンエンジンと同様に,空気と燃料がほぼ一定の割合(空燃比,約15:1)で燃焼させることで出力を発生しています。
        2. エンジン回転数と吸入空気量(バキュームセンサーで検出)により燃料噴射量を決定します。運転者の意志『アクセルペダル踏み込み量≒スロットルバルブ開度』により吸入空気量を変化させ,エンジンコントロールコンピューターが吸入空気量にあった噴射量を決定します。また,始動後空燃比はO2センサーでフィードバックします。
      2. 希薄空燃比制御
        1. 大量の空気を吸入するためにスロットルバルブは大きく開かれ,燃料噴射時期および燃料噴射量の制御でエンジン出力を決定します。(空燃比,約20〜40:1)
        2. 希薄空燃比制御(成層燃焼状態の場合)では『アクセルペダル踏み込み量<スロットルバルブ開度』となり吸気管圧力は大気圧に常に近くなるうえ空燃比を運転状態によって可変させるので,吸入空気量の検出では噴射量の決定事項になりません。
        3. 運転者の意志はアクセルペダル開度を直接エンジンコントロールコンピューターが検出することにより行います。O2センサーによる空燃比の検出は行われず,クランクポジションセンサーからの信号により角加速度を検出し,燃焼状態を把握します。
        4. アイドル回転数も燃料噴射量で制御します。また,NOX還元時,ブレーキ作動時,ヒーター制御時(ヒーターMAX時)に一時的に理論空燃比制御に切り替えます。

  4. フューエルカット
    1. エンジン保護および燃費向上のため,運転状態に応じて燃料噴射を一時的に停止するフューエルカットを行います。
    2. 作 動
      減速時フューエルカット
      減速時でエンジン回転数が規定値以上の時,燃料噴射を停止して失火による触媒過熱防止および燃費の向上をはかります。冷却水温の低いときは,フューエルカット回転数は高くなります。
      エンジン回転数によるフューエルカット
      エンジン回転数が設定値以上の時,燃料噴射を停止して過回転を防止します。
      A/Tレンジシフト時フューエルカット
      エンジン回転数が設定値以上の時,シフトレバー操作時にフューエルカットを行いシフトショックを低減します。また,A/Tの保護をはかります。

  5. 始動時制御
    1. 低圧(400kPa)の燃料でエンジンを始動します。
    2. 噴射時間を高圧燃料噴射制御時よりも大幅に延長することにより,始動性を確保しました。